金欠20代社会人が「借金地獄」から身を守る方法 キャッシングやリボ払いへの依存症はヤバイ

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「一括払い」や「分割払い」でクレジットカードの支払いをする場合、高い買い物だったときは「ちょっと使いすぎたな」と反省したり、次のカード利用を控えたりすることもあると思います。それに対してリボ払いの場合は、「毎月5000円なら支払っていける」といった気持ちになり、前の支払いが終わらないうちに、またリボ払いを使って新たな買い物をしてしまいがちです。

そうなると、翌月に持ち越す残高が増え、それにかかる金利分もかさみ、そのうち毎月5000円の返済額の大部分が金利分の支払いになってしまう……。あげくの果てに、いつまでにいくら返済しなければいけないのか、わからない、という羽目になりかねません。下手をすると、返済が終わらない、いわゆる「借金地獄」が続くことになります。資産形成どころではありません。

投資信託は保有中に差し引かれる「信託報酬」に注意

クレジットカードのキャッシングやリボ払いといった「借金」の金利のほか、金融商品にまつわる「率」もわかりづらいと思います。中でも、わかりづらいのは、投資信託の手数料である信託報酬(運用管理費用)です。

投資信託を保有している間は、運用を委託することに対する手数料が残高に一定の率を掛けた金額で徴収されるのですが、例えば「0.56%」というようにとても小さな数字です。どれも大差ないような気がします。

しかし、確定拠出年金やつみたてNISAのような長期の資産運用をする場合、その間に負担する手数料を額に直してみると、それなりの金額になるはずです。信託報酬は、投資したお金から自動的に差し引かれますから、実質手取り額に大きな影響を与えます。そして、そのことに気づく人が増え、ここ数年で投資信託は低コスト商品に人気が集中しています。

信託報酬の「率」の高低を調べるには金融機関の資料やサイトを見なければならないため、少し面倒ではあります。しかしながら、手数料が高いか安いかを調べるのであれば、「投信まとなび」のような投資信託のポータルサイトもありますし、iDeCoであれば、各社商品の手数料を一覧で見ることができる「iDeCoナビ」も活用できます。率がわかったら、自分が投資で出す金額に掛ければ、実際に自分の負担がどれぐらいなのかを実感することができます。

投資信託などの金融商品で資産形成をするには、時間をかけて長期に続けることが大事であることは言うまでもありません。2016年の金融広報中央委員会による「金融リテラシー調査」によれば、他の先進国に比べて、日本人は金利に関する問題への正答率が低く、また、金融商品購入時に他の商品との比較をしない人の割合が高いそうです。

しかしながら、自身の資産形成・資産管理においては、運用のコストとその負担を考えておくことは極めて重要です。そのためには抽象的な概念である「率」だけで考えるのではなく、実際の「額」に換算して考えてみてはいかがでしょうか。

大江 加代 確定拠出年金アナリスト

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おおえ かよ / Kayo Oe

大手証券会社に22年勤務、サラリーマンの資産形成にかかわる仕事に一貫して従事。退社後、夫の経済コラムニストである大江英樹氏(株式会社 オフィス・リベルタス 代表)を妻として支える一方、確定拠出年金の専門家としてNPO確定拠出年金教育協会 理事、企業年金連合会 調査役として活動。野菜ソムリエの資格も持つ。

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