メキシコに「国際結婚移住」した日本人妻の苦悩 孤独と向き合い気づいた本当の「強さ」
移住から半年後、「よき妻」でいることに限界を感じた博美さんは、フェイスブックにメキシコ生活のつらさをぶちまけた。今まで誰にも言えず、じっと胸の中にため込んでいた感情が、一気にあふれた。
すると、それを見たメキシコの知人や、日本の友人たちが、博美さんを気遣うメッセージを寄せてくれた。それまで、あまり親しい関係ではなかった現地の知り合いが、わざわざ会いに来てくれたこともあった。そして何より、ルイスさんが博美さんの気持ちに寄り添ってくれた。
夫がいなければとっくに帰っていた
「結婚ってこういうことかって思いました」。32歳まで独身だった博美さんには、何でも1人で考え、解決する「癖」がついていた。結婚してもその癖が抜けず、悩みごとを抱え、「自分で何とかしなきゃ」と頑張った。だが、文化や言葉の違いは、個人の力でどうにかなるものではない。出口が見えず八方ふさがりの中にいた博美さんに、ルイスさんは「もっと頼ってほしい。何でも相談して」と声をかけ続けた。
「夫がいなかったら、とっくに日本に帰っていたと思います」。博美さんは、身近に支えてくれる存在がいることに、やっと気づいた。
このことをきっかけに、博美さんは少しずつ、家族や友人に正直な感情を見せていくようになる。「悩んでもどうにもならないことがある」と受け入れ、少し気持ちが楽になった。
自分で何か始めてみようと、スペイン語クラスに通い、メキシコの情報をネットで発信するライターの仕事を始めた。スペイン語が上達するにつれ、ルイスさんの家族とも距離が近くなっていったという。クラスでは、新しい友達もできた。夫の駐在でメキシコに住んでいる日本人女性と、国際結婚で移住してきた韓国人女性だ。現地の情報や国際結婚の悩みを、気軽に共有できる相手ができたことは、博美さんの心を軽くした。
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