「ひと風呂浴びれる」夜行フェリー旅の醍醐味 探せば見つかる、面白い「Jリーグ遠征ルート」

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2013年4月7日(日)に実行した。桜の季節であった。歩き始めてほどなくすると「二子山古墳」という案内板が見えた。思わず寄り道する。いわゆる前方後円墳で、満開の桜に囲まれる墳丘を登った。辺りに人けもなく、思いがけない花見を堪能できた。

宝塔山古墳(筆者撮影)

その後も歩を進めていくと、愛宕山古墳、宝塔山古墳、蛇穴山古墳と現れてくるではないか。まったく不勉強だったのだが、この辺りは総社古墳群とのことであった。爽やかな春の気候、遠くまで広がる青空、やがて利根川の向こうに雄大な赤城山を背にしたスタジアムの照明塔が見えてきたとき、歩いてみてよかった、と思った。

このように地図を見ることは重要だ。栃木SC戦、宇都宮まで面白い行き方はないかと考えた結果、真岡鉄道と組み合わせたことがある。SL観光列車を1994年に始めた真岡鉄道は、大井川鉄道や秩父鉄道とともに蒸気機関車を運転する代表的な鉄道会社である。

探せば面白い経路が見つかる

2013年3月17日(日)、早朝に家を出て常磐線、水戸線と乗り継ぎ、下館からSLもおか号を楽しんで、益子で下車した。益子から宇都宮までは路線バスがあるのだ(当時は東野バス、現在は関東自動車)。当初は宇都宮駅まで行って、栃木県グリーンスタジアム行きのシャトルバスに乗るつもりでいたが、車内で地図を眺めていると、途中のバス停から徒歩でスタジアムまで行けることに気がついた。

幸い晴天であった。西中台というバス停が近づき降車ボタンを押した。料金を払いながら、運転士に「ここから(スタジアムのある)清原工業団地は近いですよね」というと、「え? かなり遠いと思いますが……」と怪訝な顔をされた。3km弱なので確かにそうなのかもしれないけれど、さしたる距離ではない。

まだ肌寒い時期ではあったが、散歩するにはちょうどよく、途中の清原中央公園などを眺めながら、無事グリーンスタジアムに到着したのだった。

以上、直接目的地に行く経路だけでなく、関西の人ならどう遠征するだろうかと考えてもいいし、近場であっても路線バスはないだろうか、歩ける区間はないだろうか、というところに目を向けてみると面白い経路は見つかる。また、今回寄ることができなかったけど次回は行ってみよう、と気になるところを見つけると同じ目的地であっても楽しみは増える。

応援するチームが勝つことがいちばんうれしいけれど、こんなふうに考えると、いっそう遠征に出かけていきたくなる。

八田 裕之 週末旅行家

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はった ひろゆき / Hiroyuki Hatta

1967年生まれ。武蔵工業大学(現:東京都市大学)工学部電子通信工学科卒。JR全線完乗した鉄道ファンにして、Jリーグをこよなく愛する。平日は会社員だが休日はJリーグ遠征で全国奔走の日々。フュージョンバンド「Quiet Village」のリーダーとしてギターと作曲を担当、オリジナルアルバム発表、鉄道コンピレーションアルバム参加など、音楽活動も行う。

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