銀座線の「レール幅」はなぜ新幹線と同じなのか 「軌間」には鉄道発展の歴史が詰まっている
車両は小さいものの、軌間が広い地下鉄はほかにもある。「リニア地下鉄」だ。リニアモーターカーといえば浮上式の列車を思い浮かべるが、地下鉄のリニアは鉄車輪式で、台車に搭載した薄い板状の「リニアモーター」と、レールの間に敷いた金属板の「リアクションプレート」との間に発生する磁力で走る。
その最初となったのが大阪メトロの長堀鶴見緑地線だ。軌間は標準軌の1435mmである。なぜ同線は標準軌を採用したのか。大阪メトロによると、断定的な記述はないものの、標準軌だと床下機器の設置などがしやすいとのことである。当初はトンネル断面を小さくするため、狭軌での建設も検討したという。
そんな長堀鶴見緑地線の車両(70系)の大きさは、全長15m60cm(先頭車は15m80cm)、全幅は2m49cmで、ほかの大阪メトロの車両より小さい。
リニア地下鉄は薄型のリニアモーターを使用することで、一般的な回転型のモーターを積んだ車両より主に台車が小さくなり、トンネル断面を小型化できるため建設費も縮減できる。また、モーターで車輪を回して走るのではないため、車輪の空転などの影響がなく、急勾配や急な加減速にも対応できる。
レール幅、それぞれの事情
東京の地下鉄では都営大江戸線が同様のシステムを採用している。仙台市地下鉄東西線や横浜市営地下鉄グリーンライン、神戸市営地下鉄海岸線、福岡市営地下鉄七隈線と、現在日本にあるリニア地下鉄はすべて1435mm軌間だ。
リニア地下鉄はシステムの面で他線との乗り入れは不可能なため、ほかの路線で1067mmを採用している場合も合わせる必要はなかったのだろう。また、リニア地下鉄自体がやや特殊な技術であることを考えると、後から建設する場合はあえて独自規格にせず、ほかの路線で実績のある規格に合わせたほうがメリットがあるとも考えられる。
東京メトロ銀座線のような第三軌条の路線や、大阪メトロ長堀鶴見緑地線、都営大江戸線のようなリニア地下鉄の路線のレールの幅が広く、新幹線と同じであるのには、それぞれに歴史的な背景や事情があったのだ。
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