上司が知っておくべき正しい「クビ」の切り方 「徹底的なホンネ」を語るのはボスの義務だ
上司であるあなたが、はじめて部下の改善計画を書いたり、解雇に関わるメールを書いたりする際は、その経験のある誰かに必ず文章を校正してもらったほうがいい。それには予想しないほど長い時間がかかる。とはいえ、時間をかけておいたほうがいい。
人格を評価するわけではない
人事と法務の助言にばかりとらわれすぎるのもよくない。深呼吸して一歩大きく引いてみよう。これからクビにしようとしている人は、あなたに関わりのある人間だ。あなたはまだこの人のことを気にかけている。どうしたら相手が少しでも楽になるかをよく考えてほしい。それがあなたにとって難しいことでも、あなたがリスクを取らなくてはならないとしても、相手のことを考えてほしい。
かつて私が誰かをクビにしなければならないときは、弁護士からあれこれと助言を受けた。その助言の多くは役に立ったけれど、そうでなかったものもある。
その弁護士は、警備員を雇って社員を連れ出したほうがいいと何度も言い続けた。しかし、もしそんなことをしたらクビになった人を辱めるようなものだし、その男性が余計に激高するかもしれないと思った。
私は「警備員をつけないリスクは何ですか?」と弁護士に聞いた。その弁護士は「わめき出すかもしれないから」と言った。でも、その助言に従っていたら、まさに避けたいことが起きてしまうと思ったので、反対のことをした。
彼にオフィスに戻らせて、みんなの前で彼の言葉で「さようなら」を言ってもらった。そのことに、後で彼からお礼を言われた。法的なアドバイスに従うかわりに自分の勘に従ったほうがいいこともあるのだ。
解雇の後はいつも、1カ月くらい経った頃に解雇された人にメールを出して様子を訊ねることにしている。また、その人に合う仕事がないかどうかに目を光らせて、そんなチャンスを取りこぼさないように気をつける。何も見つけられないときでも、声はかける。
相手は私からの連絡なんて欲しくないかもしれない。だからメールを送っても返事がなければそれ以上はやらない。でもたまに、一緒に散歩したり、食事をしたり、ちょっとしたやり取りをしたいと言ってくれる人もいる。
一緒に散歩に出て、クビにしてくれてありがとうと言われたときのことは忘れられない。彼の妻もまた私に感謝を伝えてほしいと言っていた。仕事を辞めたことは彼のキャリアにとってよかったばかりか、夫婦関係にも子どもとの関係にもいい影響を与えていた。
解雇を告げる上司もつらいが、辞めさせられる本人はもっとつらい。しかし、うまくいってないときに「徹底的なホンネ」を語るのは、上司としてのあなたの務めでもある。
そして、誰かを解雇しなければならなくなったら、上司として肝に銘じるべきことがある。それは、解雇しなければならないのは、その人がダメだからではなく、その人にとってその仕事がダメだったというだけの話だということだ。
そして、その仕事を与えたのは、あなたである。
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