寝台で「酒が飲めない」、シベリア鉄道最新事情 ウォッカ片手に「乗客同士の歓談」は昔の話

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セキュリティー対策も日本の鉄道の参考になる。ロシアの鉄道はセキュリティーが厳しい。主要駅や地下鉄駅の入り口には金属探知機が設置されている。駅構内に入るためにはスーツケースなどの大型の荷物は金属探知機に通す必要がある。

モスクワ地下鉄博物館に展示されている金属探知機(筆者撮影)

長距離列車に乗車する際は各車両の車掌が、乗客名簿と個人が所有する身分証明書、切符を照らし合わせる形で本人確認を行っている。日本のように切符を見せれば乗れるというものではない。

ロシアの鉄道におけるセキュリティーチェックの特徴は、チェックする人の人数が多いことだ。駅入り口にある金属探知機にも最低2人、長距離列車では各車両に車掌がいる。筆者もリュックサックを背負った状態で地下鉄の改札を通り抜けようとしたところ、2人の警備員に呼び止められ、荷物の内容を改められた。もちろん、監視カメラなどの機械も使うが、人力でしっかりとチェックしている印象がある。

サービス内容は激変

旧ソ連時代におけるシベリア鉄道を使った旅行といえば、車内でウォッカを飲みながら、長期間にわたり乗客とおしゃべりをするというイメージを持つ人も少なくないだろう。しかし、そのようなシベリア鉄道の旅行は様変わりしている。現在は、食堂車以外でのアルコール摂取が禁じられているのだ。

シベリア鉄道の車内(筆者撮影)

シベリア鉄道を走る長距離列車は3クラスに大別される。1等は2人用個室、2等は4人用個室、3等は開放型寝台だ。筆者は2人用個室に乗車したが、車内にはWi-Fiサービスこそないものの、コンセントプラグが付いているので、タブレット端末にダウンロードしたエンタメを楽しめる。

3等車は新しい車両が導入される。昨年11月にロシア国鉄が示したイラストによれば、ベッド周りにはプライバシーを確保するためのパーティションが取り付けられ、各ベッドにはコンセントプラグとUSBプラグが設置されるという。やることがなく1日中、同室の客とおしゃべりを続けるというかつての旅のスタイルが様変わりしそうだ。新しい3等車は早ければ今年にもデビューする予定だ。

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