渋谷で飲む人は終電より「始発時間」を気にする 経路検索データが示すナイトタイムの実態

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多くの飲食店は、できれば深夜12時、1時くらいまでは営業したいと考えている。しかし、従業員の帰宅を考えればそうはいかない。11時くらいに営業を終了し、それから片付けをして、渋谷駅まで走る。それでなんとかギリギリ帰れる。

こうした状況から脱却するためには、交通面を変えなくては前に進めない。議論を深める中で、まずは深夜にバスや電車の定期運行を増やして、深夜に働く従業員の帰りの足を確保して営業時間を延ばせる体制を整えてはどうかということになった。そうすれば深夜の需要が増えるので、交通機関の利用者が増え、さらに定期運行が増えていく。

また、消費者にとって、現在はタクシー利用を除けば、終電までに帰るのか、朝までいるのかの二者択一である。もし深夜に定期運行が行われれば、深夜2時まで、あるいは3時まで遊ぶといった選択肢も出てくるので、夜遊びの参加者はさらに増加し、定期運行の本数もさらに増えるといった好循環につながるという仮説が立てられた。

「人手不足は運輸業界も同様。加えて膨大な経費がかかる定期運行を増やすことはそう簡単ではありません。しかし、実際にどのくらいの需要があるかを示せば、運行が可能かどうか具体的に検討できます。

電車を動かすのが難しければ、深夜バスの運行でも構いません。深夜にバスを1本、余分に運行してくれるだけでも、従業員の帰宅の環境はガラッと変わる。そこで、まずは、現時点で夜中の需要はどうなっているのかを調べてみようということになったのです」(藤澤氏)

検索ランキングで見えてきたこと

まず調べたのは終電検索。目的地にたどり着くための最終電車の出発時刻を調べる機能だ。すべての電車の終電が終わっている午前1時20分から2時の時間帯を調べた。

終電検索をするためには、出発地と到着地を入力する。普通は、今いる駅を出発地に指定して検索をかけるので、終電後のデータを見れば「どこの駅で帰れなくなったのか」「どこの駅に行こうとしているのか」がわかる。

検索時刻のラストを2時までにしたのは、明らかに終電は終わっている時刻なので、それ以降に検索する人は、まずいないと考えたからだ。

それでは、終電検索をされるのは、どの駅なのだろうか。終電検索の出発駅を多い順に並べると、1位新宿、2位渋谷、3位池袋、4位東京、5位横浜と出た。通常時の出発駅ランキングで渋谷は4位である。池袋、東京を抜いて2位に浮上するほど、夜の渋谷の吸引力は高いということになる。

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