渋谷で飲む人は終電より「始発時間」を気にする 経路検索データが示すナイトタイムの実態

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始発検索はどうだろうか。出発駅では、渋谷が1位にはねあがった。興味深いのは、渋谷で始発検索した人の数は、渋谷で終電検索をした人の9.5倍もいることだ。ちなみに新宿は6.2倍、池袋は6.5倍だ。

「新宿や池袋に比べれば、あえて終電検索などせずに、そのまま始発まで渋谷で過ごそうという人が相当数いることがうかがえます。同様の傾向は六本木、恵比寿にもみられます。

いずれも終電検索の出発駅ではベスト10に入ってこないのに、始発検索の出発駅では、それぞれ4位、10位に入っています。六本木はそもそも深夜でも遊べるエリアで、恵比寿は最近、ガーデンプレイス周辺におしゃれ居酒屋が集積し始めましたからね」(藤澤氏)

一方、新宿は終電検索の出発駅で1位であると同時に到着駅でも1位、そして、始発検索の出発駅で2位に落ちるのは、何が何でも家に帰ろうとする人が多いのではないかと予想される。

「始発検索の到着駅については、羽田や舞浜(ディズニーランド)などがベスト10に入ってきた。早朝、遊びに行く人のデータが混ざってしまい(笑)、ナイトタイムのデータとしては新たな発見ができませんでした」(藤澤氏)

渋谷の飲み会のスタートは遅い

「渋谷で始発まで過ごす人が多い理由の1つに、IT企業をはじめとするベンチャー企業が集積していることがあげられるかもしれません」(藤澤氏)

一般の企業が“9時5時”で働くのに対し、IT企業は“10時6時”が多い。働き方改革に取り組んではいるものの残業も多く、飲み会のスタート時間は7時とか8時。2次会まで盛り上がれば、あっという間に終電を過ぎてしまう。深夜遊びが好きな年代の若者に人気の街であると同時に、夜型の企業が集積している街でもあるわけだ。

「今回の調査で、相当数の人がすでに渋谷にいることがわかりました。新たに人を呼び込むことも大切ですが、まずは、今、渋谷に集まっている人をどうするかを考えるのが先でしょう。深夜に渋谷のどこに集まっているのか。閉まった店に、どのくらいの客が行こうとしていたのか……。次は、店舗検索機能などを使って調査をしてみたいと考えています」(藤澤氏)

コンビニやファミレスが、24時間営業を見直し始めたこともあり、ナイトタイムエコノミーの動向は気になるところだ。しかし、勘や経験に頼らず、まず、現時点で深夜・早朝に各エリアでどのくらいの人がどんな動きをしているのか、具体的な数値を出した意味は大きいだろう。そうしたデータから、実際に深夜の街にいる人の人数を推計することも可能かもしれない。それはバスや電車の運行会社に対する説得材料にもなる。

深夜の従業員を確保できて、深夜の移動も楽になれば、まず、ナイトライフを楽しむ日本人が増えるだろう。ナイトライフが充実すれば、それもインバウンドの新たな吸引力になる。

竹内 三保子 カデナクリエイト

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たけうち みほこ / Mihoko Takeuchi

明治学院大学経済学部卒業後、西武百貨店入社。紳士服飾部、特別顧客チームを経てフリーライターに。その後、編集プロダクション・カデナクリエイトを設立。流通業で培った顧客視点で執筆を行っている。共著に『図解&事例で学ぶビジネスモデルの教科書』『クイズ 商売脳の鍛え方』など。最新著に『課長・部長のための労務管理 問題解決の基本』(カデナクリエイト著・マイナビ出版)。

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