週刊ジャンプ復刻版にハマれない45歳男の本音 40代に「ウケる企画」と「ウケない企画」の大差

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しかしながら、この3つのパックの出来は正直残念だった。なぜかといえば、「おっさんホイホイ」としての完成度が低かったのだ。「顧客目線ではなく、ジャンプブランド目線」、いや、もっと言えば「編集部・集英社目線・当時の関係者目線」になっていたのに加え、「ジャンプというブランドが大好きでしょうがない人向けの最大のサービス」になっていたからだ。

発売から1年半が経過したのに、いきなり難癖をつけて申し訳ない。もちろん、いったん関係がそれほど良好とはいえなくなった「コアミックス」が、その後も付き合った作者による『北斗の拳』『CITY HUNTER』も収録されているだけに、この企画を実現させた関係者には敬意を表するものの、かつての熱狂的な読者としては、「違う!」と言いたくなったのだ。

なぜグッとこない?

今後、集英社がこうした企画をする場合、おそらく現在45歳前後のボリューム世代が求めるであろうものをここで書いておく。もしもそれが達成された場合は、個人的には毎月3000円ぐらいは使ってしまうかもしれない。

ジャンプの復刻版については、今回6冊あったが、実は3冊しか読まなかった。やはりもっとも熱心に読んでいた小学5年生~中学1年生あたりの2冊が最高だと感じられた。

私がジャンプを読んでいたのは、小学4年(1983年)から中学2年(1987年)で、「少年」とついているだけに、アメリカに引っ越したというのもあるが、高校生以降は「毎週、少年漫画誌を買う」という習慣が完全になくなってしまった。よっぽどの漫画好き、ジャンプ好きであれば読むだろうし、50歳になってもジャンプは買い続けるかもしれない。その人にとって、「リアルタイム」は延々続いている。

しかし、いつしかその「リアルタイム」を捨てた人間にとっては、そのコンテンツへの愛情は失われるもの。

だからこそ、私にとっては『ハイスクール!奇面組』『銀牙-流れ星 銀-』『きまぐれ★オレンジロード』『聖闘士星矢』『男坂』『魁!!男塾』『ついでにとんちんかん』『キン肉マン』『CITY HUNTER』『キャッツ・アイ』『天地を喰らう』『赤龍王』『シェイプアップ乱』『キャプテン翼』『ブラック・エンジェルズ』以外の作品を、今さら読みたいとは思わない。

リアルタイムで読んでいたにもかかわらず、『こちら葛飾区亀有公園前派出所』は長すぎたので愛着がなかったし、『ジョジョの奇妙な冒険』と『ドラゴンボール』については、自分が読んでいたときと別作品のように変質してしまったため、まったく興味がない。

とんでもないヒット作となった『スラムダンク』『幽遊白書』『ONE PIECE』も読む気はない。むしろ、漫画喫茶に行った場合は、リアルタイムで読んでいた、1巻をかろうじて出すに至った不人気作『すもも』(天沼俊)の第1巻(これですべて)をむしろ読むだろう。

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