ホンダHVが打ち壊す「エコで退屈」という概念 スポーツハイブリッドi-MMDの位置づけとは

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今回試乗したオデッセイのハイブリッド車(写真:ホンダ)

システムとしては駆動用モーターと発電用モーターの2つのモーターを備え、駆動用モーターは駆動軸と、発電用モーターはエンジンとそれぞれ直結し、動力をミックスさせるための複雑な機構やトランスミッションが介在しない、シンプルなシステムとなっている。これにより、複雑な機構を介したフリクションロスとは無縁の高効率でスムーズな駆動を実現している。

走行時のフィーリングは先ほども記した通り、基本的にはモーター駆動で走行するために非常にEVライクな乗り味。日産が2016年に発表したノートe-POWERがエンジンで発電しモーターで駆動することを「電気自動車のまったく新しいカタチ」と表現していたが、それよりも前の2013年にすでに「SPORTS HYBRID i-MMD」を搭載したアコードがデビューしていたということになる。

デビュー時にアコードに試乗した筆者は「これは新しい走行感覚だ!」と感動を覚えたことを鮮明に覚えているが、初搭載されたのが、すでに日本では人気薄となっていた中型セダンのアコードだったことが、明暗を分ける形になったのかもしれない。

求められるイメージリーダー

さらに高速巡行ではモーター駆動からエンジン駆動へと切り替えがなされ、モーター駆動の弱点である高速走行時の燃費(電費)悪化を最小限に抑えてくれる。ここは全域でモーター駆動となるe-POWERやピュアEVにはない大きなアドバンテージとなる。また、エンジンで発電できることで大容量バッテリーを搭載しなくても済むため、コスト的にも車両重量的にも有利となる点も見逃せないメリットと言えるだろう。

今回のワークショップでは、ハイブリッド車用モーターを生産するホンダの浜松工場を訪れる機会も設けられた(写真:ホンダ)

このように、低中速域はモーターのトルクフルな走り、高速域ではエンジンで効率のいい走りが楽しめる「SPORTS HYBRID i-MMD」は、まさに現代のVTECと言ってもいいようなシステムとなっており、アクセルONでググっと車が前に出る感覚はスポーティーそのものなのだ。

ただ、残念ながらインサイト、アコード、CR-V、ステップワゴン、オデッセイと、ステップワゴン以外はややマイナーかつ高価なモデルにしか設定がないのが残念なポイント。NSXまでとは言わないが、イメージリーダー的なポジションを担うスポーティーなモデルが1台あると「SPORTS HYBRID」らしさがより強調されると思うのだが……。

小鮒 康一 フリー(ライ)ター

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こぶな こういち / Kouichi Kobuna

1979年5月22日生まれ、群馬県出身。某大手自動車関連企業を退社後になりゆきでフリーランスライターに転向という異色の経歴の持ち主。国産旧車を中心にマニアックな視点での記事を得意とするが、実は現行車へのチェックも欠かさない。また、中古車販売店に勤務していた経験も活かし、中古車系の媒体でも活動中。できればどこへでもクルマで行きたいタイプで、電車移動は苦手な部類。通称「フナタン」。

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