日本人が「世界一ソムリエ」を逃した2つの理由 技は世界最高峰だが「意外な所」で差がついた

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でもこれで失点・・・・・・。

お分かりのように、これはlike が動詞なので、本来はDO系の動詞で受けねばなりません。 仮に客の発言がGood wine! Isn’t it!? だったら、簡単にoh yes, it is!! Do you like it?? と返せるわけですよ。

このあたりが非英語圏英語の怖さで、お金を払ってまで習っている私から見ると、岩田君は流暢ですが、ここができていませんでした。審査員がオールフランスネイティブなので、これはもう仕方ないんですが、「このようなことで失点するなんて!」、と思われますでしょう。でもこれがソムリエコンクールの現場で、特に「世界」と銘を打っているからには避けては通れない道なのです。

ということで、一つは非英語圏英語の怖さだったのです。

サービスのスマートさとスピードに「世代交代」の波

もう一つ感じたのはサービスのスマートさとそのスピード。これはもう、世代交代、というしかないと思います。いわゆる、田崎真也さん、石田博さんに代表される、伝統的なグランドメゾン典型のフランスのソムリエのサービスはそこにはありませんでした。

マークはまさに軽やかに舞う感じで、もう、カリッカリのサービスをしていましたし、準優勝のニーナもそうです。しかし、これは従来のグランドメゾンのソムリエからしたら 「オオバツ!」「大失格!」であります。恐らく常連の客にもこっぴどく怒られるに違いありません。「これがフランスの名門トゥール・ダルジャンのサービスか??」などと言われたら、ひとたまりもないでしょう。

しかし、実際に三ツ星を取っているピエール・ガニエールのソムリエはいつもにこやかで、まさに歌を歌うようにサービスしてくるわけですよね。これは歌舞伎とよく似ていて、伝統はあるものの、現代という風景にすべてを溶け込ませていかねばならない。日本勢は今回このあたりが不足だったと思うんですね。

恐らく、優勝したマークのサービスはパリのグランドメゾンでは受け入れられないのではないでしょうか。これはクラッシック音楽の世界でも実は同じようなことが過去にあって、指揮者というのはかかとを付けてしっかり目を開けてタクトを振るのが当たり前の時代が続きました。

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