30歳「ネカフェ難民」から抜け出た彼の壮絶半生 「人の役に立つ仕事がしたい」の思いで働く

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そんな生活をしていたが、ある日家賃を滞納してしまい、祖母にうるさく問い詰められて面倒になり、部屋を出ていくことにした。しかし、引っ越し費用がないため、ここで康介さんはネットカフェ難民となってしまった。ナイトパックで1泊1200円。洗濯ができなかったため、服が汚れてきたら買い換える生活をしていたら、まったく貯金できなかった。

21歳のとき、康介さんは上京。家賃4万円のシェアハウスに住み、またパチンコ店で働いた。

「なんだかんだでパチンコ店になっちゃうんですよね。パワハラがあっても時給がよくて、一応社保もあったので。ただ、そこの店は労働時間が6.5時間で短く、手取りは月15万円ほど。家賃を引かれると10万円ちょっとで生活しなきゃなりませんでした。食費や携帯代、遊びに使っても残るはずなんですが、まったく残らず……」

康介さんは今もパチンコ店を渡り歩いている。ハローワークなどでもっといい環境の仕事を探さなかったのかと聞くと、「一度ハロワに行ったものの、提示されている条件と現実が違う会社が多かった。実はこの資格が必要だとか、実は残業がこのくらいあるよとかで、もうええわ!と思い使わなくなった」という。

人の役に立つ仕事に就いて猫と暮らしたい

冒頭でも述べたが、現在はパチンコ店と倉庫の掛け持ちのフリーターだ。手取りは2つ合わせて月21万〜22万円。現在は5万5000円の家賃のアパートで一人暮らしをしている。

「光熱費がけっこうかかっちゃって月2万円近く。そして、趣味の格闘技のジム代が月2万円。あと、ファッションが好きなので服を買います。格闘技では大会にも出ています。今までめちゃくちゃな生き方をしてきたので、自分に価値はないと思っていたんです。でも、格闘技の試合中は周りの人が応援してくれたり助けてくれたりするのが唯一の生きがいになっています」

康介さんはパチンコ店を早く辞めて、今後は人の役に立つ仕事がしたいと語る。

「『パチンコ店で働いていると』人に言うとめちゃくちゃイメージが悪いんですよね。だから、お世話になっているジムのオーナーくらいにしか自分の仕事を伝えていないです。人の役に立つ仕事ってなんだろうと考えたところ、介護が浮かんだのですが、知人が介護をしていてとてもハードみたいで、躊躇してしまいました。

貯金もゼロです。でも、こないだネットのニュースで今の20代〜30代の約3〜4割は貯金がゼロだと知りました。貯金、しようと思えばできるんでしょうけど、ストレスがたまると食に走ってしまうんですよね……」

結婚願望についても聞いてみた。

「無理だと思っています。こないだまでちょっといい感じの女性がいたのですが、どうやら振られたっぽくて……。これ、振られた原因だと思うのですが『子どもはかわいいけど俺は絶対欲しくないなぁ』とポロッと言っちゃったことがあるんです。自分自身がロクな育てられ方をしていないので、こんな僕が子どもを育てたらロクな人間にならない。この連鎖を僕が断ち切らないといけないなって」

今は非正社員の康介さん。今後の目標は猫が大好きなので猫と一緒に住むことだという。今は、保護猫カフェでお気に入りの猫と触れ合うのが至福のひとときとのこと。

話していると、根はとても優しい男性だと感じられた。人からも「お前は優しすぎるから格闘技は向いてないんじゃないか」と言われるそうだ。彼が人に役立つ職に就き、そしていつか猫と一緒に暮らせる日がくることを願う。

姫野 桂 フリーライター

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ひめの けい / Kei Himeno

1987年生まれ。宮崎市出身。日本女子大学文学部日本文学科卒。大学時代は出版社でアルバイトをしつつヴィジュアル系バンドの追っかけに明け暮れる。現在は週刊誌やWebなどで執筆中。専門は性、社会問題、生きづらさ。猫が好きすぎて愛玩動物飼養管理士2級を取得。趣味はサウナ。

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