日本人男性が「ブルーマン」を成功に導いたワケ 単身渡米、親からも借金をして資金を集めた

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「断られ続けても『絶対この作品はうまくいく!』と信じて続ける忍耐力と、その作品がビジネスにつながる可能性が高いことを、投資家に納得してもらえるだけの論理やプレゼン力が必要なんです」

さらに、その資金集めには時間もかかる。例えば、2008年に幕開けを計画していたミュージカル『トリップ・オブ・ラブ』は資金集めに数年の月日を費やした。にもかかわらず、2008年に起こったリーマンショックで、すべての計画が狂ってしまった。それまで支援すると言っていた投資家からの資金調達が難しくなり、新たに投資先を探すも見つからない。新しいプランを練って、再び資金集めをし、実際に開演したのは7年後の2015年だった。

「1つの作品を作るのに、これだけ時間も労力もお金もかかるので、情熱がないと続かないんですよ。僕はエンターテインメントが好きだから、そのパッションが原動力となって、いろんなことを乗り越えられたし、ここまで続けてこれたと思っています」

情熱のほかに、もう1つ大事なのは「忍耐」だという。

「情熱を注げる好きな仕事でも、つらいことなんて山ほどある。特にこの業界は競争が激しいですからね。でも苦しいときこそ、忍耐しないといけない。そう自分に言い聞かせて、今日まで働いてきました」

人生一度きりなので、思いっきり冒険したい!

出口さんは、3月13日まで放送されていた、アメリカのCBSテレビ局のオーディション番組『ザ・ワールド・ベスト』にて、レギュラー出演をしていた。さまざまなジャンルのパフォーマーが、世界一のタイトルと賞金100万ドルを目指して戦うこのオーディション番組は、視聴者が1億人を超える全米視聴率No.1のスーパーボール放送直後にスタート。

アメリカのCBSテレビ局のオーディション番組『ザ・ワールド・ベスト』に出演する出口さん(写真:出口さん提供)

出口さんは、これまでのさまざまな実績が認められ、世界各地から選抜された50人の国際審査員の1人として、日本の国旗を掲げて出演した。

そんな出口さんに、今後やっていきたいことを聞いてみると、目を輝かせながらこう語ってくれた。

「いっぱいありますよ。新しいミュージカルも作りたいし、映画も作ってみたいし。かなえたい夢がたくさんあるんです。一度きりの人生なので、これからも思いっきり冒険したいですね」と笑った。

出口さんの情熱や好奇心は、とどまることを知らない。新しい挑戦にも躊躇せず、「冒険」と捉え楽しんでいる。また結果を出すまでは努力を続け、どんな困難も乗り越える忍耐力もある。だからこそ、世界で次々と夢を形にしていけるのだろう。

これからどんな作品を生み出して、私たちを楽しませてくれるのだろうか。今後の活躍も目が離せない。

鮫川 佳那子 イギリス在住ライター/インタビュアー

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さめかわ かなこ / Kanako Samekawa

青山学院大学卒業後、サイバーエージェントに入社し、ウェブメディアの運営や広告制作に携わる。2015年より夫の海外転勤でニューヨークへ渡り、世界で活躍する日本人のインタビュー記事やコラム、書籍を執筆。現在はイギリスでライターをしながら、「こんまり」こと近藤麻理恵さんのオンラインサロン運営や、ラジオのインタビュアーとしても活躍。鮫川佳那子のSNSやホームページはこちら

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