本業は大丸が独り勝ち 三越は既存客も失う
衣料品不振で本業の百貨店事業が軒並み減益の中、大丸だけが伸長。経営合理化の進捗が明暗を分けた。
(『週刊東洋経済』4月25日・5月5日号より)
大手百貨店の2007年2月期決算が出そろった。各社とも客数の前年割れが続く中、冷夏暖冬で好採算の衣料品の売り上げが落ち込み苦戦を強いられた。連結では増収増益を達成し、好調に見える高島屋も百貨店事業では減益。「スタートは好調だったが、店頭の売り上げは月を追うごとに予断を許さない状況になった」(高島屋財務グループ長・増田容久氏)。
特に厳しさが目立ったのは三越だ。百貨店事業の営業利益は、前年を16・8%も下回った。全国の主要店舗で若い世代の獲得を狙った改装を行ったものの、品ぞろえは不十分。新規客ばかりか、結果的に既存客の売り上げも落としてしまった。粗利益率向上を狙ったバーゲン中止も、常連の足を遠のかせた。
今期は増益を見込むが、最大の売り上げを誇る日本橋本店の改装による売り場縮小が続く中、抜本的なコスト削減で減収をどこまでカバーできるかがカギとなりそうだ。
唯一、百貨店事業で前年比13・6%もの増益を達成したのは大丸だ。客数、客単価とも減少傾向にあるのは他社と同じだが、04年から進めている改革が奏功した。売り場人員の適正配置や後方業務の効率化などに取り組んだ、札幌店の低コストモデルが、全社的に浸透し始めたという。
大丸は松坂屋ホールディングスとの統合を発表したばかり。今回は「大丸モデル」の優位性が証明された。売り上げ回復が望めない中、さらなる合理化を求めた再編機運が業界全体に広がりそうだ。
(書き手:堀越千代 撮影:梅谷秀司)
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