東大カリスマ教授の「超ハック術」 塩野誠×松尾豊 特別対談(上)

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 スタートアップ戦略としての、人工知能

松尾豊(まつお・ゆたか)
東京大学大学院工学系研究科総合研究機構、知の構造化センター、技術経営戦略学専攻准教授。同大学院工学系研究科電子情報工学博士課程修了。博士(工学)。専門は、人工知能(推論、機械学習)、自然言語処理、社会ネットワーク分析、セマンティックウェブ、ソーシャルネットワークなど。研究室からは、キュレーションサービスGunosy開発者を輩出。

塩野:それで、大学に入ってから、人工知能を専門に研究を始めたのですよね。どうして人工知能を専門に選んだのですか?以前、人工知能で「自分を保存してみたい」とも仰ってましたが。

松尾:研究室を選ぶときに、どれがいいかなあと思っていて、たまたま人工知能に出会いました。これをやってみたいなあと思って図書館で調べたら、人工知能はまだまだ発展途上だということがわかったのですね。じゃあラッキーと思って、入りました。

塩野:それは1990年代後半くらいですよね? 私、その当時のこと覚えているのですが、確かネットスケープの手前くらいだったと思います。そのときに、まさか人工知能とウェブの相性がよくなると思っていましたか?

松尾:それはあまり思っていませんでした。でも、情報系の研究を始めるとなると、いろいろな研究者がいろいろなことやっていました。音声やっている人とか、画像やっている人とか。やっぱり、僕自身が新規参入なので、新規参入なりの方法を考えないといけないなとは思いました。

ある先生と飲みに行ったときに、「いや松尾君、これからやるんだったらロボットかウェブしかないよね」と言われました。それでピンときました。確かに新規参入の身としては、ロボットかウェブしかないかもしれない。

ただいろいろ考えると、ロボットは装置が必要なので、学生や若手の研究者にとっては非常にハードルが高い。物量がきくテーマなのです。それに参入しても、勝つのは難しそうだなあ、と。

塩野:そこでベンチャーである松尾先生は、コストがかからない方法を選ぼうと思ったわけですか。完全にスタートアップの戦略ですね。

松尾:はい。その後、大学院を出て、産業総合研究所というところにいたのですが、そこではユビキタスみたいなことをやっていました。センサーでいろいろ観測したり、位置情報を取ったり、けっこう先進的なことをやっていました。ただあるとき、やはり選択集中だろうと思って、ウェブに集中しました。

塩野:完全にビジネスマンじゃないですか(笑)。

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