JR東日本のSuica、「QR決済」をどう迎え撃つ?

JR九州はアリババと連携、私鉄でも動きが

東海道新幹線の自動改札機。ICカードの情報を読み取って乗車票を発行する機能がある(編集部撮影)

他社の事例で、機能も異なるが、JR東海は2014年4月に「約52億円を投じて、東海道新幹線の全17駅、295通路の自動改札機を取り替える」と発表した。ここから1台当たりの価格は諸費用込みでおよそ1700万円と推察することができる。東海道新幹線の改札機はICカードの情報を読み取って乗車票を発行するという機能を持つため、割高になっているようだ。

電子マネーに対応した自動改札機を導入していない駅が地方に多いのは、価格の高さが一因である。利用者の少ない駅でそこまで高性能な改札機は必要ないからだ。

そこでJR東日本は、クラウド技術を用いるなどの工夫を行い、改札機側で高度な処理をする必要がない簡易版システムの導入を検討中だ。改札機の導入コストを引き下げることによって、スイカが利用できる駅を管内全域に広げようとしている。地方駅は首都圏の駅ほど利用者が多くないので、データの処理量や速度を落としても利用者に不便をかけないという考え方は十分成り立つ。

JR西日本のイコカは大阪近郊区間のほか、岡山、広島などの一部区間で対応しているが、今春から境線(米子―境港間)に車載型IC改札機を導入して利用可能エリアを広げる。車載型とは、列車内にIC改札機を設置し、車内で運賃を自動精算する仕組み。全国の路線バスや路面電車ですでに実施されている。ゲートがない分だけ導入コストは安くつく。

JR東日本は簡易版システムを駅と列車内のどちらに設置するのかも含めて、「これから検討していく」と述べるにとどまるが、低コストを理由に車載型IC改札機の導入がJR東日本エリアでも進む可能性はある。

QRコード決済が台頭

地方の駅でスイカの利用環境が整えば、地方の小売店舗でもスイカの利用者拡大が見込める。

日本銀行の調査によると、2017年におけるクレジットカードの決済金額58兆円に対して、電子マネーは5.1兆円と、クレジットカードの規模は電子マネーを圧倒的に上回る。しかし、2017年度末における1人当たりの平均保有枚数はクレジットカードの2.15枚に対して、電子マネーは2.9枚で、電子マネーがクレジットカードを上回る。東日本エリアの各地でスイカの普及が進めば、電子マネーの勢力はさらに拡大しそうだ。

経済産業省が2015年に18%だったキャッシュレス決済比率を2025年に40%まで引き上げる目標を掲げていることも、この動きを後押しする。その先には同比率80%の達成も目指す。今年10月の消費増税後に9カ月限定で、販売店でキャッシュレス決済を行った場合に、消費者に2~5%のポイントを還元するという制度も導入する予定だ。

そのスイカの周辺がにわかに騒がしくなってきた。QRコードやバーコードを使った決済サービスの台頭である。

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