路面電車の弱点「運賃支払い時間」は解消可能

ICカードを使った「セルフ乗車」のすすめ

「セルフ乗車」を導入した広島電鉄の1000形(筆者撮影)

こんな場面を想像してほしい。中心市街地の路面電車停留所は長蛇の列。「あと3分で到着します」と案内表示器が伝える。やってきたのは最新型の低床車両である。

車両の長さは18mと長く、たくさんの客を乗せるには十分の大きさ。だが、扉は前と後ろの2つしかない。後ろ乗り前降りだから後ろの扉の前で待つもののなかなか扉が開かない。降りる人が車内に列をなしていて乗る人との交錯を避けるため、ある程度列がさばけないと運転士は扉を開けない。降りるときに1人ずつ順番に運転士に運賃を支払うから、ここが「ボトルネック」になって時間がかかるのだ。

乗車扉が開いたが、乗車はここ1カ所なので乗車にも時間がかかる。やっと発車したものの、今度は停留所に止まるたびに乗り降りに時間がかかるので、所要時間は増すいっぽうだ。

車両は最新でも仕組みは昔のまま

ベビーカーを伴ったお母さんは降車の際に前扉まで車内を移動するのが大変だ。地下鉄電車のように、扉がたくさんあってどの扉でも乗り降りできれば停車時間が短くなり、乗った扉から下車できるのだが。

東洋経済オンライン「鉄道最前線」は、鉄道にまつわるホットなニュースをタイムリーに配信! 記事一覧はこちら

そもそも、地下鉄やJRでは駅員の世話にはならずに乗降できるのに、路面電車ではなぜ運転士の立ち合いのもとに1人ずつ順番にICカード乗車券をリーダにタッチさせるのだろうか。リーダをすべての扉に設置しておけばいいのに。

こうしたイライラや感想は誰もが経験している。車両と停留所は近代的になったが、システムとしてはチンチン電車の時代から進歩していない。

しかし、こうしたイライラがなくなる日は近そうだ。2018年は、わが国のワンマン路面電車・バスに「セルフ乗車」(「信用乗車」とも呼ばれる)導入の確実な流れが見えた年だった。

次ページ広島電鉄でもセルフ乗車を開始
鉄道最前線の人気記事
トピックボードAD
関連記事
  • 新型コロナ、長期戦の混沌
  • ボクらは「貧困強制社会」を生きている
  • 若者のための経済学
  • 不安な時代、不機嫌な人々
トレンドライブラリーAD
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
トレンドウォッチAD
徹底検証「都心vs.郊外」<br>激動 マンション・住宅

在宅勤務の長期化を受け新しい住まいへの需要が急膨張。想定外の事態に供給業者も対応に追われています。2度目の緊急事態宣言発出という状況下、住宅市場はどう変わるのでしょうか。最前線での取り組みを徹底取材しました。

東洋経済education×ICT