「ファスナー開いてるよ」と女性に言える上司力 シェリル・サンドバーグが私を変えた2分間

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言うべきか、言わざるべきか。上司の悩みは尽きません(写真:aijiro/PIXTA)
アップルやグーグルの管理職研修プログラムの開発に携わり、ツイッターをはじめ多くのIT企業でコーチを務めるキム・スコットが、自らの経験を基に、チームを活性化させ最高の成果を出すマネジメントノウハウをまとめた著書が『GREAT BOSS(グレートボス): シリコンバレー式ずけずけ言う力』だ。
本書の原題は『Radical Candor』(徹底的なホンネ)で、いかに「ズバリとホンネを言う」ことが重要であるかが、このメソッドのキモとなっている。なぜ「徹底的なホンネ」がマネジメントに効くのか、FacebookのCOOとなった女性経営者に指導されたエピソードから要約して紹介する。

シェリル・サンドバーグの神対応

わたしがグーグルに入ってまもなく、CEOと創業者たちの前でアドセンスの業績を報告することになった。アドセンスは絶好調だったし、上司のシェリル・サンドバーグが横に座って支えてくれていたのに、わたしは不安だった。

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幸い、今回はいい報告ができた。業績はかつてないほど伸びていた。会議室を見回すと、CEOのエリック・シュミットとちょうど目が合った。わたしが先月獲得した新規顧客の数を口にしたとき、彼がハッとしたようにコンピューターから目を上げたのだ。CEOの目をメールから逸らすことができた。それだけでも大成功だ!

「いま、何社って言った?」。シュミットが尋ねる。わたしがその数を繰り返すと、彼はいすから転げ落ちそうになった。思ってもないほどの好反応だった。プレゼンを終えたわたしは、大成功に気分が高揚し、ほっとしてもいた。

シェリルが会議室の入り口でわたしを待っていた。ハイタッチでも交わしてくれるのかと内心期待した。でも、彼女はオフィスまで一緒に戻りましょうと言う。胃のあたりが縮こまった。わたしが何かやらかした? でも何だろう?

「あなた、きっとこれからグーグルで大活躍するわ」。シェリルが切り出した。「自分の意見を客観的に見ることができるし、反対意見にも冷静に応える力がある。だからあのプレゼンはすごく信頼できた」。彼女はわたしが言ったことを3つか4つ具体的に挙げて、その点を褒めてくれた。シェリルは話をやめてわたしの目を見た。その様子から、本気でそう言っていることが伝わった。

しかし、胸のあたりにまだもやもやとしたものがつっかえていた。今にも斧が振り下ろされそうな予感があった。自分が何をやらかしてしまったのか、それが知りたかった。

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