iPhoneが日本に与える経済効果が変化するワケ

アップル日本法人の直接雇用は38%増に

アプリ市場分析を得意とする市場調査会社Sensor Towerは、アプリ経済の規模は2018年の時点で、グーグルのGoogle Playに対しアップルのAppStoreは1.9倍の市場規模があるとリポートしていた(ただしGoogle Playは中国市場で提供されていない点は考慮すべきだろう)。

しかし、注目したいのはこうしたアプリ市場拡大のペースやGoogle Playとの比較ではなく、収益を上げているアプリジャンルの違いだ。アップルは内訳を発表していないが、Sensor TowerによるとGoogle Playの65%がゲームからの収益なのに対し、AppStoreは33%にすぎない。

つまり、大まかに言えばゲームの売り上げに関しては、両プラットフォームの市場規模に違いはないが、それ以外……ライフスタイルやフィットネス、ヘルスケア、教育、それに写真や動画関連の売り上げが、AppStoreは大きい。

ゲームは開発投資が大きく、また順位の固定化を崩しにくいジャンルだ。そうした意味では、ノンゲームのスマートフォン向けアプリやコンテンツ、あるいは関連ハードウェアなどは、iPhone/iPad向けの実装が、より大きな売り上げ(雇用)につながると言えるだろう。

ハードからソフトへと変わる「お金の流れ」

今回は久々に更新されたアップルの雇用創出リポートを出発点に書き進めた。もちろん、この報告ページはアップル自身の“自己アピール”でもある。

すでに2016年8月版の雇用創出情報にはアクセスできなくなっているが、当時のリポートが「日本でのiPhone売り上げが日本の経済の一翼を担っている」ことを訴求していたのに対し、今回のリポートでは「アップルのビジネスモデルがもたらす、日本社会への影響」へと訴求の軸がやや移っているように感じた。

ハードウェアメーカーで、しかもライバル各社に比べ、平均売価の高い製品を販売するメーカーであるアップルだが、iPhoneを中心に見た場合、将来の成長はAppStoreの売り上げと関連サービスへと移り変わっていくと考えられる。

ハードウェアと基本ソフト、それにアプリマーケットにコンテンツ配信サービス。これらをタイトに統合し、そこからデベロッパーや関連事業者のビジネスへと広げていくエコシステムを積極的に“作れる”ことは、アップルの本質的な強みでもある。

1月末に発表された数字によると、グローバルで“稼働中”のiPhoneは9億台以上、iPadを含むiOSデバイス全体では14億台に達するという。今後、ハードウェア市場が成熟していくとしても、その上で使われるサービスやコンテンツの売り上げの成長余力はある。

今後も日本のサプライヤーが、iPhoneの一部を支えていくことにはなるだろう。しかしアップル自身がそうであるように「アップル経済圏」もまた、ハードウェアそのものから、ハードウェアを中心とするソフトウェアとサービスへとお金の流れが少しずつ傾いていくだろう。

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