頻発する内定取り消し! 突然の通告に戸惑う学生、満足な説明すらない企業も

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頻発する内定取り消し! 突然の通告に戸惑う学生、満足な説明すらない企業も

「しばらくは就職活動(就活)を再開する気になれなかった」。都内私立大学4年生の白井陽子さん(仮名)はそう振り返る。

08年11月、就職の内定していた不動産会社が倒産。今春までに就職を決めたいと思っているが、現在も次の就職先はまだ決まっていない。

内定は08年4月にもらった。別の不動産会社の面接も進んでいたが、内定が出て、就活はストップした。7月以降は宅地建物取引主任者の勉強も開始。「不動産業界が危ない」という話は聞いていたが、9月中旬、会社が行った親睦会では、役員が「うちは大丈夫だから」と語っていた。10月には内定式も終えていた。

会社の倒産を知ったのは、ほかの内定者からの電話だった。「社員の方も、倒産を知ったのは会見の1時間前だそうですから」(白井さん)。12月に二度、会社からの説明があった。

1月には会社から紹介された企業との面接に臨む予定だ。「第2のスタート。極力5年生にはなりたくない」。他の内定者とは、今後も絆を大事にしようと話し合っている。

別の私立大学の学生には、11月下旬、ある金融系企業から内定辞退を勧める文書が届いた。学生は放置しておいたが、12月に突然、内定取り消しの通知が来た。理由は業績の悪化。大学が会社に問い合わせても、「担当者が辞めてしまった」と、満足な説明すらないままだ。

08年秋以降、相次いだ企業の内定者取り消し。厚生労働省の調査では、08年11月末時点で331名に上る。ある大学就職課の担当者は「以前も倒産による内定取り消しはあったが、景気悪化を理由とするのは今回が初めて」と言う。事態の深刻化を受けて、青山学院大学のように、すべての単位取得後でも学校に残れる処置や留年する場合の学費軽減を検討する大学も出始めた。

内定は労働契約であり、企業が内定通知を出した時点で、労働契約は成立している。労働法に詳しいウェール法律事務所の小川英郎弁護士は「もし訴訟になった場合、倒産した会社以外、今回取り消しを行った会社は敗訴となる公算が高い。補償金を出す場合も、最低でも入社した場合の年収分は支払うべき」と言う。

とはいえ、学生にとって訴訟はなかなか選択肢になりえないのが実状だ。53人全員の内定を取り消した日本綜合地所。一部の学生が個人加盟可能な組合「東京東部労組」に入り、企業と団体交渉を行った。

だが、実際に交渉を行った学生は3人。取り消しのあった当初は、半分近い学生が団体交渉に関心を示していたが、時間とともに減っていった。同社から内定取り消しを受けた学生は「今後の就職活動に不利になるのではという不安はあった」と打ち明ける。

大学関係者の中には、就活の早期化が内定取り消しの遠因となっていると指摘する声もある。多くの企業は4~5月に内定を出すが、その時点で次年度の予算が成立していない企業も多い。別の大学就職課担当者は「もう少し就活の時期が遅ければ、環境悪化による内定取り消しは防げたのではないか」と指摘する。

社会の入り口を前につまずいた、学生の傷は決して浅くない。


(週刊東洋経済)
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