小学校プログラミング必修化の知られざる意義 2020年導入でいったい何が起きるのか

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石田:タブレットやパソコンを使ってやるんですか?

小宮山:その授業では、イギリスのBBCが中心となって開発した教育用の小型コンピューター「micro:bit(マイクロビット)」を使用していました。イギリスの義務教育では、5歳から14歳までにプログラミング言語を2言語マスターすることが必修になっていて、マイクロビットも11〜12歳の子どもに無償配布されているものです。

子ども向けに操作性を簡易化した教材

――プログラミング教育をすでに実施している日本の小学校では、どんな教材を使っているのでしょうか。

石田 勝紀(いしだ かつのり)/一般社団法人教育デザインラボ代表理事、公立大学法人都留文科大学国際教育学科特任教授。1968年神奈川県横浜市生まれ。20歳で起業し、学習塾を創業。3500人以上の生徒を指導し、「心を高める」「生活習慣を整える」「考えさせる」の3つを柱にして学力を引き上げる。2003年、東京の中高一貫私立学校の常務理事として大規模な経営改革を実行。横浜市教育委員会高校改革委員、文部科学省高校生留学支援金制度の座長を務め、生徒、保護者、教員を対象とした講演会、企業での研修会も多数実施。2015年から連載している東洋経済オンラインの「ぐんぐん伸びる子は何が違うのか?」は累計6500万アクセスを超える。2016年からはママさん対象の子育て・教育勉強会「カフェスタイル勉強会 Mama Cafe」を主宰し、講演会、研修会、ママカフェの活動回数は年間150回を超える。国際経営学修士(MBA)、教育学修士(東京大学)、東京大学大学院教育学研究科博士課程在籍(撮影:尾形文繁)

小宮山:そう聞かれると思いまして、一例として、今実際に一部の学校などでも導入しているレゴ社の教材、『レゴⓇ WeDo 2.0』をお借りしてきました。このキットでモデルを組み立てて、ソフトウェアをタブレットにインストールしてBluetoothでハブと接続すれば、あとは画面に出てきたアイコンを動かすだけで簡単にプログラミングができる教材です。

具体的には、例えばロボットを動かす場合、画面に出てくる説明書を見ながら自分でモーター付きのレゴブロックを組み立てます。その後、画面にいくつか並んでいるアイコンから、自分がロボットを動かしたい条件に合ったものを選んで、ドラッグ&ドロップするとプログラミングが完了します。あとはモーターにセンサーを取り付けてロボットを動かしてみて、自分が思っていた動きかどうかを確認しながら調整していきます。

石田:コーディングなんてしなくても、動き方、速度、音、色といったさまざまな条件や機能を持ったアイコンをドラッグ&ドロップするだけで、自分のモデルを好きなように動かせるようになるわけですね。ゲームでいろんなアイテムを手に入れて、キャラクターをパワーアップさせていって戦うのとよく似てません?

小宮山:そうなんです。座学が苦手な子どもでも、こういう教材を使用するだけで「面白そう!」と興味関心を示す子どもは多いですね。世界的には、未就学児でもプログラミングの基本的な操作を学べる「Scratch(スクラッチ)」が人気です。自分がプログラミングして作ったゲームやアニメを海外の子どもたちとシェアして、異国間コミュニケーションもできる教材です。

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