セブンの営業時間騒動「合法だからOK」への疑問

資本主義に沿っているといえばそうだが

そして今回取り上げたいちばんは「こういった問題の本質は何なのか」ということです。世の中に現実的にある「合法だが腑に落ちない」というケースは、いったい誰のどのような責任なのでしょうか。

アダム・スミスの国富論にさかのぼってしまう問題なのですが、資本主義が発展するのは、企業や個人が欲望のままに活動することに対して神の手が働き、最終的に最適化するためです。このような考え方が資本主義社会の根底にあります。ここが本質で、企業は組織としてルールの中であれば利益を極大化することに最大の関心を持ちます。その結果、古くから公害、薬害、事故、労働問題などの社会問題が発生するようになります。

【2019年3月6日13時50分追記】初出時、アダム・スミスの著作名に誤りがありましたので、上記のように修正しました。

そして環境関連の法整備がなされることで公害が過去のものとなったり、PL法ができて消費者の被害が救済されるようになったりします。法整備によって世の中がよりよいものになっていきます。現代資本主義の歴史はそう発展してきました。昨年、財務官僚によるセクハラが問題になった際には「セクハラ法という法律はない」と財務相がかばったことが社会問題になりましたが、法律を作る側の国会議員でもある大臣の発言としては考えさせられます。

資本主義社会では合法的な行動であれば、企業はそれを追求します。社会的に望ましくないことだからといって自主規制をするということは企業ごとの判断ではありますが、それをやったほうが利益は上がるということであれば、それをやる企業は大量に出てくる。これが資本主義経済の原理です。

しかし違法となったら大企業は必ずそれをやめる。多重債務者が苦しめられたグレーゾーン金利問題のときも、法律が改正される前は「グレーゾーン金利をやめたら金融機関にはマイナスだ」と反論していたメガバンクの経営者も、法律が変わった瞬間から新しい法律を守るようになりました。

結局「政治家と官僚がいつまでも決めない」

今回の問題は、「雇用をした従業員であれば労働法規に従わなければいけないが、契約をしたオーナーであればたとえブラック労働になってもそれは合法である」という法律を作っているということに問題の根っこがあり、そこに本当の責任者がいるのです。

ただ「では政治家と官僚が悪いのか?」というと、ここもそれほど簡単ではありません。資本主義のメッカであるアメリカをみるとわかりますが、ワシントンDCには大企業が雇った無数のロビイストが活動をして、企業にとって都合のいい法律の制定に日夜、力を入れています。

日本でも当然のように企業は政治家に働きかけています。象徴的な例としては、4月に施行される「働き方改革関連法」ではないでしょうか。これは企業の側に有利な法律になっているようです。まあ年金問題、不正統計問題など厚生労働省は官邸に人事権を握られて以来、ぼろぼろですから、最後は政治家の言いなりでしょう。今回の問題も、この一連の霞が関問題の一角でしかないのです。

さて、全国のコンビニのオーナー約100人が所属する「コンビニ加盟店ユニオン」は、人手不足を原因とするオーナーの長時間労働は生命に関わる問題だとして、営業時間の短縮を取り決める団体交渉を申し入れました。セブン-イレブン・ジャパンは「加盟店のオーナーは事業主であり、本部との労使関係はない」として交渉には応じない姿勢です。

フランチャイズ契約を労働契約と認めるかどうか、コンビニオーナーに団体交渉権を認めるかどうか、カギを握る中央労働委員会の政治的な最終判断は、2015年に審査が始まった後もいまだ下されていません。そして「政治家と官僚がいつまでも決めない」というところに、合法的であっても腑に落ちないことがはびこる土壌が存在し続けているのです。

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