メルカリの現金レス「メルペイ」の甘くない船出 「チャージ不要」「後払い」武器に先行組を猛追
手間いらずに使ってもらえるという他社にない強みを持つメルペイだが、ビジネスとして拡大を図っていくうえでは、いくつかの壁がある。
1つ目の壁は、発表会見で記者からも質問が相次いだ「メルカリの収益柱であるフリマ事業に悪影響が出ないのか?」という点だ。
メルカリ上でモノを売ってお金を得たユーザーが、そのお金をメルカリ内で使って買い物をする。このサイクルが円滑に回っていることが、メルカリがフリマサービスとしてユーザーに支持される理由になっている。
だが、メルペイの登場によってメルカリ以外の実店舗で売上金を使った決済ができるようになると、「メルカリ内に落ちるお金が減少し、ユーザーが出品してもモノが売れなくなる可能性がある」と、IT業界ではささやかれている。
この点について、メルカリの山田進太郎会長は「現状、大部分のお金(メルカリ内での売上金)についてユーザーは、銀行口座に出金し、現金として引き出し、リアル店舗などでの支払いに充てている」と説明する。つまり、メルカリ外に出ていっているお金は以前から相当量あり、メルペイによってその流出が加速することは、メルカリとしては想定していないということだ。
実際、メルペイ開始からまだごく短期間ではあるが、購入者数の減少などメルカリ内での購買にネガティブな影響が出ている様子はないという。
意外と少ない?潜在メルペイユーザー
2つ目の壁は、メルカリ上の売上金がさほど外部に流出しないとしても、果たして「ユーザー規模そのものを拡大できるのか?」という点だ。メルカリは現在、約1200万人の月間利用者数を有する。このユーザー基盤はメルペイを普及させるうえでの強みにはなるが、その全員がイコール、潜在的なメルペイユーザーとはいいにくい。
2018年5月にメルカリが株式上場の際に公表した資料によれば、当時1000万人の月間利用者数を抱えていたうち、何らかの商品を「買った人」が月間約310万人、商品を「出品した人」は月間約200万人(2018年1~3月の平均値)だった。売り買い両方を行っている人の割合も加味すると、つまり「買っても売ってもいない人」が600万人規模で存在していたということになる。
メルカリユーザーがメルカリ上でモノを売って得た売上金は、そのユーザーがメルペイで決済を行う際の原資になる。その原資を確保できる出品ユーザーは、全体の5分の1程度にとどまっているのである。現時点における月間利用者数の内訳は公開されていないが、最近ではファッショントレンドなどを検索する際にメルカリを利用するシーンも増えている。ユーザーの興味に応じて表示される商品が変わるので、SNS感覚で眺めているユーザーもいる。メルカリ上で「売った人」の割合は今も決して高くはないだろう。
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