「マスターと一緒に郷ひろみを歌ったり、ママに松田聖子の曲をリクエストしたり、楽しく過ごしています。誰もがこの場所を“アットホーム”だと言っていますね。やっぱり、この雰囲気が好きなお客さんが集まっている。だから、いつ行っても楽しめるんです」(原さん)
ちなみに、薫子ママによると、当時の客が入れたボトルは移転した今でも大切に保存しているという。「私がママを務めた3年間、たくさんのお客様がボトルを入れてくれたわ。最後は200本くらいになったかな。もちろん、お店がかわった今でも、ボトルは大切に保管しています」。
「スナック初心者」にも優しい雰囲気
最後に、スナ女・五十嵐が、道玄坂に移転オープンしたスナック杉の子を評価してみたい。
まずは、「入店スリル度」。文中でもふれたとおり、スナック杉の子は、スナックやバー、クラブが多数入居するビルの7階にある。そのため、それほどハードルは高くない。普段、いろいろなお店で飲み歩いている人なら、抵抗なく入ることができるだろう。
次に「店内の雰囲気」。桜丘町の昭和ノスタルジックな雰囲気とはうって変わって、高級クラブのようなモダンな雰囲気であった。常連客も、オープンしたばかりの店に足を踏み入れた瞬間、「全然雰囲気が違う! きれいすぎて落ち着かないー」と叫ぶほど。とはいえ、お酒を飲み、歌を歌えば、いつものスナック杉の子が顔を出す。
最後に、「初心者&スナ女 受け入れられ度」。滞在した4時間のあいだに、2組のスナック女子が訪れていたのだが、男女問わず、ママの気さくなコミュニケーションで打ち解けているようだった。スナック杉の子なら、客同士の一体感を楽しむこともできそうだ。
現状、渋谷で行われているすべての再開発の完了は、2027年を予定している。完了すれば、渋谷スクランブルスクエア、渋谷キャスト、渋谷ストリームなど、次々と“渋谷の新しい顔”が誕生することになる。
ただ、次に控える「ネクスト渋谷桜丘地区」の再開発計画にも、古き良きスナックが数軒含まれている。このように全国各地で行われている再開発によって、日本の文化とも言えるスナックが消えてしまうのかと思うと、いたたまれない気持ちになる。
ママやマスターの高齢化にともない、担い手が少なくなる中。今後、古き良きスナック文化は残っていくことができるのだろうか。それとも、時代の波にのみ込まれて沈んでしまうのか。日本独自のカルチャーとして、残っていけることを強く願うばかりだ。
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