「打倒アイコス」、JT渾身の新製品はこんな味だ たばこ感はより強く、ただ残念なところも・・・

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そのためアイコスやグローのように、加熱した際に出るとうもろこし臭がないのが特徴で、逆にたばこ感が弱いとされていた原因でもある。今回はそのたばこ感を強化すべく、新型が投入されたというわけだ。

デザインの特徴としては、JTが海外ですでに販売している、加熱式たばこ「Logic PRO」をベースにしていると感じる。海外では、リキッドにニコチンを溶かし蒸気化して吸う加熱たばこが主流なのだが、日本では法規制のため販売できず致し方なく、ニコチン溶液ではないグリセリン加熱式たばこが一般化したのだと思われる。

上が新型で下の旧式よりも大きい(筆者撮影)

プルーム・テック・プラスを構成するのは、おおまかに4つの部品で成り立っている。充電式リチウム電池、グリセリン、グリセリンホルダー、たばこ葉カプセル。これらを連結し、リチウム電池についている丸いボタンを3回押すと、起動。すぐに蒸気が出てくる。

新型は旧式よりもかなり大きく、存在感もある。リチウム電池の容量も大きい。そして今回何と言っても違うのが、たばこ感を強く感じるように工夫をしているらしく、加熱温度やグリセリンを目で見えるようにしている点だと思う。

残量が見えるのはいいが、USB端子は残念

旧式の場合、グリセリンの残量が見えないので、あとどれくらい使えるのかがわからなかった。一方の新型は、グリセリンカプセルの窓が本体についているため、残量が見えるので安心だ。

ただし一点、非常に残念なのは、USB端子がタイプBであること。リチウムイオン電池の挿し口が現在主流のUSB‐Cでなく、向きが一定で台形のBタイプだからだ。スマートフォンはすでにタイプCが主流のため、コンセントを流用できない点がもったいない。もっとも説明書には、専用の充電器を使うように指示されているゆえ、同梱されている充電器を使う分にはまったく問題がないのである。充電容量は増大、充電速度も向上している。

スターターキットには電池や充電器などがある(筆者撮影)

充電方法は変わった。従来はコンセントに直接挿して、充電が終わるのを待つというものだったが、今回の新型は、USB‐Bタイプのコードを電池に差し込む方式となっている。これは便利だろう。旧式は壁に出っぱるゆえ、足が引っかかったりして破損のリスクがあったが、新型はコードがあるためにそのリスクが軽減されている。

「メビウス・マイルド・ブレンド・フォー・プルーム・テック・プラス」をはじめ、たばこカプセルはレギュラータイプ2種類、メンソールタイプ2種類の計4種類。1箱にはたばこカプセル5個とリキッド容器が入っている。また、旧式についてもなくなるわけではなく、継続して販売され、ファッショナブルな製品としてブラッシュアップされた。大きさが新型に比べ小さく、見た目で洗練されているので、よりおしゃれな方向に舵を切ったのではないか。

果たしてプルーム・テック・プラスはアイコスを超えることができるのか。消費者の審判はまもなく下る。

(注)本記事はたばこやパイプたばこなどの推奨や宣伝をする目的はまったくなく、商品分析のために書かれたものです。たばこは人体に有害とされているため、推奨されるものではありません。

山本 康博 ビジネス・バリュー・クリエイションズ代表取締役、ブランドマーケッター

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やまもと やすひろ / Yasuhiro Yamamoto

1965年生まれ。日本コカ・コーラ、JT、伊藤園でマーケティング、新商品企画・開発に携わり、独立後に同社を設立。これまで携わった開発商品は120アイテム、テレビCMは52本製作。1年以上継続した商品を計算すると打率3割3分、マーケティング実績30年。現在では新商品開発サポートのほか、業界紙をはじめとしたメディア出演や寄稿、企業研修、大学でのセミナー・講義なども多数実施。たたき上げ新商品・新サービス企画立ち上げスペシャリスト。潜在ニーズ研究家。著書に『ヒットの正体』(日本実業出版社)、『現代 宣伝・広告の実務』(宣伝会議)、英語著書『Stick Out~a ninja in Japanese brandmarketer~』(BVC)など。

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