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スシロー「一斉休業」が映す飲食産業4つの課題 「従業員からの声」を無視できなくなった

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  • 鈴木 貴博 経済評論家、百年コンサルティング代表
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スシローの場合、年間売上高は約1748億円。単純計算で2日休めば10億円の機会損失が発生します。このような事情から株式を上場しているような大規模チェーンはどこも例外なく年中無休、そして可能であるならば24時間営業を志向する経済メカニズムが存在しているのです。

ところがこのメカニズムにあたらしい制約が出てきました。それが日本全体での人材不足という問題です。

これまでの成功するチェーン店ビジネスでは、儲かるチェーン店フォーマットがいったん確立できたら、あとはいかに高スピードで出店することができるかどうかが企業成長のポイントでした。

ですから投下資本に対する利益率を高め、出店候補地をみつけ、店舗を建築し、従業員をそろえるスピードをどう高めることができるかが、企業成長に差を生み出してきたのです。

ところがこの要因の中の“従業員”が近年、成長の明らかなボトルネックになり始めました。「人がとれない」「人が足りない」。そのことが成長のボトルネックになる。こんな現象が日本中のチェーンで起きています。

これまでは急増する外国人労働者がそのバッファとなって、外食チェーンを支えてきました。ところが、現実にはその外国人労働者が今やとりあいになっている。そして重要なことは、その外国人労働者の間の口コミやSNSで「どこのチェーンが働きやすいか」「どこのチェーンはブラックか」の情報が共有されていることです。

つまり大規模チェーンの場合、すでに外国人労働者の間での待遇をどう改善するかということが経営拡大の生命線になり始めている。そこで働き方改革が求められるというあたらしい構図が起きているのです。

スシローだからできた「一斉休業」

一方でこのような全国一斉休業の動きがスシローから始まったというのはある意味うなずけます。スシローはそういったことができるだけの“好業績の裏付け”があるからです。

スシローは2019年1月現在、15カ月連続で既存店売上高が対前年同月比でプラスになっています。しかも2019年9月期に入ってからその成長スピードは前年よりもさらに高まっています。2019年9月期の直近の4カ月の単純平均では、既存店売上高は8.6%のプラスで、まさに儲かって儲かってたまらない状況です。

一方でその数字をブレークダウンしてみると、既存店客単価の伸びは2.3%増と微増なのに対し、既存店客数が5.1%増ということで売り上げ高成長を支えています。客数の増加が売り上げ成長の主要因だということは、店舗の側から見れば忙しくて忙しくてたまらない状況ということになります。

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【悪い評判で雇用者を減らしたくない】

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