コーヒー券を完売、新幹線パーサーの販売術 育児と仕事の両立で「乗務する母」の先駆者に
東海道新幹線のパーサー、特に東京に拠点を置くパーサーたちは結婚後も核家族というケースが多い。そうなると、夫婦それぞれの親の助けを得ることも難しく、いっそう仕事と育児の両立のハードルが高くなる。
特に新幹線のような朝夕や土日祝日を問わない鉄道の仕事ではなおさらだ。職場の制度面の整備はもちろん、家族の理解も欠かせない。ただ、そうした苦労の中でも、パーサーとしての仕事への姿勢にも変化が生まれたのだとか。
「子どもを持つ親の気持ちがよくわかるようになりましたね。車内でぐずっている子どもを連れている方がいると、どうしてもあやしているお母さんの気持ちになってしまう。お母さんは子どもが泣いているだけでとても焦っていると思うので、私が笑顔で接客することで少しでも和んでいただきたい、そういう思いが強くなりました」
「好きなことを貫いてほしい」
ただ子育てをしながら働くだけではなく、仕事の面でもキャリアを積んで誰もが認める実績も腕もある。そんな矢野さんが、“仕事と子育ての両立”に悩むこともあるであろう、後輩たちに伝えたい言葉。
「好きなことを貫いてほしいですね。その思いを貫いて、周りにも伝えて、理解してもらって。私も後輩たちが好きな仕事をずっと続けられる、そういう職場にしていきたいと思っています」
われわれのような普通の利用者からすれば、いつも笑顔を絶やさぬ華やかなパーサーたち。
でも、当然どんな仕事にも苦労はあるし、育児との両立に悩むこともあるのだ。矢野さんの話からは、そんな人間らしさも伝わってきた。
社内の制度も徐々に充実してきており、鉄道の仕事に携わりながら育児と両立させる女性も当たり前になった。
そうした中で、ますます矢野さんのようなパーサーが増えていくだろう。そんなことを考えながら新幹線に乗ったら、これまで以上にパーサーたちが輝いて見えるのかもしれない。
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