FRBの利上げ路線が凍結されたと解釈されている今となっては、2019年前半の株価の動向を大きく握るのは、米中貿易摩擦の行方を残すのみとなったといえます。中国の景気減速の傾向が続いているなか、習近平指導部はアメリカに相当の譲歩をしても合意を急ぎたいと考えているようです。中国の景況感悪化が止まらないために、長老たちの習指導部への批判が強まってきているからです。
その一方で、ドナルド・トランプ大統領は自らの最大の功績と誇っている株価上昇について、下落を何としても回避したいため、米中の交渉がまとまるだろうと期待されています。年初の時点では専門家の多数が合意は難しいという見解を述べていたのに対して、トランプ大統領が中国との交渉で妥協を決断する可能性が大いに残されているのです。
米政府関係者によれば、貿易などの歩み寄りやすいテーマで中国と部分的に合意し、難しい構造問題は協議期間をさらに90日間伸ばして協議を続けるという案が、トランプ政権内にはあるといいます。NYダウは米中の交渉が最終的にまとまるという材料を織り込み、現時点で2万4700ドル台まで戻してきています。実際に交渉がまとまれば、NYダウは2万5000ドル超まで戻り、チャートは想定していたダブルトップから、3つめの天井であるトリプルトップを形成するまで戻る可能性が高いでしょう。
ところが逆に、株式市場の期待を裏切り米中の交渉が決裂するようなことがあれば、アメリカの大幅な景気減速や後退を織り込みにいく相場になる展開が予想されるため、NYダウは12月26日の安値2万1712ドルに接近ないし下回ってくることを意識しなければなりません。もちろん、日経平均も1万9000円を下回ってくることを念頭に置いて対応していく必要があるでしょう。
2019年後半~2020年が大チャンスになる理由
それでは、2019年後半からの投資戦略はどのように構築していったらよいのでしょうか。私は2019年の後半以降は、再び波乱の相場に備える守りの投資姿勢が欠かせなくなるだろうと考えています。それと同時に、株式市場の暴落に動じない姿勢、相場を冷静に見る姿勢を経験する機会を与えてくれるとも考えています。
おそらく2019年後半~2020年の間には、2015年や2016年の暴落時よりも大きなチャンスが訪れるだろうと予想しています。あるいは、世界同時不況に偶発的なショック(中国の債務バブルの崩壊など)が重なるようなことがあれば、2013年以来の念願のチャンスが到来することもあるかもしれません。
そういった視点から判断すると、今後の日経平均が1万9000円はもちろん、1万8000円を割り込んで来る事態を想定して臨んだほうが無難ではないでしょうか。
私の予想が必ずしも当たるという保証はありませんが(実際に、2016年の時点でトランプ大統領の誕生や大型減税の実施は予想できませんでした)、目下の戦略では日経平均の下値が1万8000円になるのか、1万7000円になるのか、さらに下の株価があるのか、経済環境や市場動向を見ながら柔軟にタイミングを見極めなて買い向かうようにアドバイスしたいところです。
積極的に投資をしたくなるようなチャンスは、得てして世界的な不況時にやってくるものです。アメリカが景気の大幅減速や後退に陥るだけでなく、中国も減速を耐えなければならないようになれば、成長率のマイナス幅が最も大きくなる先進国は日本において他はありません。ですから、株価が戻す局面では現金のポジションをできるかぎり高め、次のチャンスを待つという姿勢が今まで以上に重要になってきます。
今のところは積極的な買いのチャンスをしたい時期は2020年を中心にして準備していますが、2020年と言わず、目まぐるしく変わる世界の情勢に応じて、あるいは最悪のシナリオに適応できるように、読者の皆さまには柔軟に戦略を修正しながら臨機応変に対応していただきたいと思っています。また私のブログ『経済を読む』でも、大事な局面では経済や株価の流れを分析していることがあります。ぜひ参考にしていただければ幸いです。
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら