ホンダ「スーパーカブC125」乗ればわかる進化 シリーズ60周年を超えたロングセラーモデル

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ビジュアル面でも圧倒的に存在感を見せているのが新採用のキャストホイールだ。今回採用のデザインはスーパースポーツモデルや高級車にも採用されている10本スポークで、ハブからは5本のスポークが出ながら途中からY字デザインで最終的に10本となる。

スーパーカブシリーズの中での125㏄エンジンの動力性能であれば街中での走行も安定性が高かったC125と筆者(撮影:尾形文繁)

また、ホイールハブ付近の中空仕上げはホンダCBR1000RR/SPなどにも採用されるハイスペックホイールと同等の技術で作られたうえに、美しく切削された表面には丁寧なクリアー塗装まで施されているから驚きだ。

今回のキャストホイールの採用でチューブレスタイヤになったこともお伝えしておこう。つまり、スーパーカブC125は人々の「役に立つもの」という基本コンセプトはそのままに、現代のニーズに合わせ技術面での進化とともに、パーソナルユースとしての側面をも更なる高みを目指したモデルと言えよう。

課題点もあるが、走る本質を感じたバイクだ

ただ、気になった点もいくつかある。

ホンダは幅広い世代へのバイク訴求を行うものの、例えば右フロントブレーキレバーはいまだにレバー位置の調整もなく、指の長さでブレーキレバーへの入力が変わってくることを許容していない。

右折時のコーナリングもスムーズだったスーパーカブ C125と筆者(撮影:尾形文繁)

4輪車では常識のABSシステムも国内モデルでは採用見送りとなっている。左右のハンドルスイッチはスイッチハウジングと同色のスイッチボタンが見にくく、デザインが優先していると感じてしまう。

また、このオートマチックミッションだからこそ可能性があるアイドリングストップ機能も、現代のニーズとしては必要だろう。今回の販売価格が税込み39万9600円というところで、ホンダとしては”大台”には乗せたくないのが実情かもしれないが……。

結果的に、このC125を走らせて思うことは、本質的なバイクの楽しさとはいったいどこにあるのか?を改めて考えるきっかけになったことだ。排気量に頼らず、車格に頼らず、装備に頼らずとも、人が自然に思うがままに操れる。そこにこそ、バイクの本質的な楽しさがあり、だからこそ、多くの人にビジネスユースでもでプライベートでも愛し続けられたのではないか。生産60年を超えてもなお、進化し続ける工業製品を前にして改めて日本技術のすばらしさを感じずにはいられない。

宮城 光 モータージャーナリスト

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みやぎ ひかる / Hikaru Miyagi

1962年生まれ。1982年鈴鹿サンデーオートバイレースに於いてデビュー3位。直後にモリワキレーシングと契約、1983年鈴鹿4耐で優勝、同年全日本F3クラスとGP250クラスに於いてチャンピオン獲得。1984年全日本F3クラス、F1クラスチャンピオン獲得。1988年HondaのHRCと国内最高峰GP500ccライダーとして契約。1993年より活動の場をアメリカに移し、全米選手権でチャンピオンになるなど、日本だけでなく海外でも活躍。1998年からは国内4輪レースでもその才能を発揮し、翌年の「4輪スーパー耐久シリーズ」ではチャンピオンを獲得する。また、世界耐久選手権シリーズ・鈴鹿8時間耐久ロードレースでは2003年より5年間ホンダドリームレーシングの監督を務めた経験ももつ。2016年には米国ボンネヴィルにおいて4輪車の世界最高速度記録を達成、世界記録保持者。開発車両ではTeam無限のマン島TT参戦車両・2輪電動マシン「神電」の初期からの開発ライダーを担当し2018年時点で5連勝中、2019年もチャレンジする。一方では、警視庁及び企業向け交通安全講話やライディング&ドライビング講師、専門学校講師などのほかに、 日本テレビのMotoGP解説者や雑誌などのメディアでレースやバイクの解説を務めるなど、多方面で活躍中。ホンダ・コレクションホールではホンダ歴代の2輪4輪グランプリマシンの維持管理テストレーサーを務める。無類のラジコン好き。

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