「スピンオフドラマ」が本家以上に人気の理由 「今日俺」ヒットの理由はHuluにあった?

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「パラレル進行型」は先の『トドメのパラレル』、「未公開型」は2018年10月クール日曜ドラマ枠で放送された『今日から俺は!!』がその代表例です。

Huluではスピオンオフとして『今日から俺は!! 未公開シーン復活版』が配信されています。売りはアドリブ合戦。尺が決まっている地上波放送では、絶妙の間合いや奇跡のアドリブをカットせざるをえません。

一方Hulu版では、主演の賀来賢人をはじめ、コンビ役の伊藤健太郎、脇を固めるムロツヨシ、佐藤二朗ら福田雄一監督作品には欠かせない常連の役者陣らのそんなシーンがふんだんに盛り込まれています。そんな現場で作られたことも地上波でのヒットにつながっているのかもしれません。

高谷氏は、日本テレビのドラマ制作チームと配信チームとの関わり方の変化についても述べていました。

「クランクイン前の脚本の段階から、ドラマの内容によってどのように連携するのがベストかを検討しています。ドラマを楽しんでもらう最適な形を目指し、Huluオリジナルストーリーを作っています」

配信主流の時代目前、収益化を分散する動きへ

配信主流の時代目前。コンテンツの収益化は、放送起点からコンテンツ起点へと、変化が求められています。これまでのように地上波放送だけを考えて回収するモデルだけではテレビ局の経営は厳しくなっています。

収益化を分散する。つまり、さまざまなメディアウィンドーで展開できるコンテンツに投資する動きが活発になっていくでしょう。

例えば、海外市場ではIP(知的財産権)開発も注目されています。まだ出版も放送も配信も映画化も決まっていないストーリーの取引を始めているのです。筆者が毎年現地取材するフランス・カンヌのコンテンツ見本市「MIPTV」では、IP開発会議と銘打った場が設けられ、世界各国のドラマプロデューサーや脚本家らが集まり、まだどこにもない新しいコンテンツの種を探しています。

そんな流れのなかで、日本でも配信スピンオフドラマの位置づけが「おまけ」から脱却しつつあります。作る人も出る人も同じでも、作り方が変わることによってコンテンツも変わるものだと思います。

長谷川 朋子 コラムニスト

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はせがわ ともこ / Tomoko Hasegawa

メディア/テレビ業界ジャーナリスト。国内外のドラマ、バラエティ、ドキュメンタリー番組制作事情をテーマに、テレビビジネスの仕組みについて独自の視点で解説した執筆記事多数。最も得意とする分野は番組コンテンツの海外流通ビジネス。フランス・カンヌで開催される世界最大規模の映像コンテンツ見本市MIP現地取材を約10年にわたって重ね、日本人ジャーナリストとしてはこの分野におけるオーソリティとして活動。業界で権威ある「ATP賞テレビグランプリ」の「総務大臣賞」の審査員や、業界セミナー講師、札幌市による行政支援プロジェクトのファシリテーターなども務める。著書は「Netflix戦略と流儀」(中公新書ラクレ)。

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