日本の駅弁は美食の国フランスで通用したか

「いなり」など7種類、現地で調理…成果は?

NREがパリ・リヨン駅で駅弁を売るのは、2016年春に行った即売会に続き、今回で2回目となる。前回と決定的に違うのは、駅弁業者5社の調理担当者が期間中パリに常駐し、日本の味そのままを送り届けるという形を取ったことだ。「味にうるさいフランスの人々」に新鮮なホンモノの駅弁を食べてもらおう、という狙いだ。

パリ・リヨン駅に設けられた駅弁のポップアップショップとスタッフ(写真:日本レストランエンタプライズ)

ポップアップショップのオープンから4日目、筆者も店頭に行き、どんな人々が買いに来るかを見てみることにした。

やはり現地在住の日本人がメインの客層ではあったが「日本に行って、日本食の味の繊細さに驚いた」というフランス人男性は「EKIBEN」が売られると聞いてリヨン駅にやってきたといい「日本で食べたあの雰囲気が、小さな箱の中に再現されていてすばらしい」と絶賛し、決して安価とは言えない駅弁をいくつも買い求めていた。

コメの炊き方にも工夫

筆者も「ジャポニスム2018記念駅弁 よりどりいなり弁当」を購入し、パリ在住の知人と試食した。これは今回の駅弁5社が持つエッセンスを5つの大きな「いなり」で表現したものだ。

「よりどりいなり弁当」のパッケージとTGV(筆者撮影)

フランスの水はカルシウム分の多い「硬水」で、そのままコメを炊くとパラパラになってしまう。しかし、筆者と一緒に試食した知人は「このご飯はいったいどうなっているんだ? ふっくらと炊けている」と驚いていた。

NREによると、現地の規定で商品を4度以下で保管しなければいけないなど、日本との販売環境の違いがあった中で「特にコメの炊き方を工夫して、冷たくてもおいしく食べられる駅弁を意識し調製した」といい、水については日本から浄水機を持ち込み、軟水に変えて炊飯に使ったという。

「味へのこだわり」が垣間見られるエピソードだが、現地発信のブログによると「全種類試すために、何度も立ち寄って購入しているフランス人」もいたというから、そのこだわりは成功したといえよう。口コミでその評判が広まった結果、即売を行ったほぼ全日で商品が完売、もしくはほとんど売れ残りなしという成果を収めた。

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