誰からも嫌われたくない人が生きづらい理由

名越康文が「対人関係のコツ」を徹底解説

「職場に苦手な人がいる」と悩んでいる人は、まず自分の中に「すべての人に好かれなくてはいけない」「誰からも嫌われてはいけない」という密かな思い込みがないか、ということをチェックしてみてはいかがでしょうか。

「嫌われること」を恐れていませんか?

厳しい言い方だと感じられるかもしれませんが、「嫌われたくない」「誰からも好かれたい」というのは、突き詰めると個人的な「欲」でしかありません。

だってそうですよね。あなたのことを好きになるか、嫌いになるかは相手の自由なのだから。

「好かれる」とか「嫌われない」というのは、実は「相手を自分の思うようにコントロールしたい」という大きな欲につながっている。この自分の中にある大いなる「欲」に気づき、上手に払っていくこと。これは、ストレスをためず、仕事を長く続けていくための大切なコツの1つだと私は思います。

他人から嫌われることを恐れ、とにかく好かれようとして疲弊してしまう傾向を、私は「過剰適応」と呼んでいます。一般的に、欧米人に比べて日本人は、過剰適応の傾向にある人が多いと私は考えていますが、特に仕事でストレスをため、精神的に追い込まれてしまう人の中には、この過剰適応の傾向を持っている人が少なくありません。

過剰適応の傾向を持つ人の中には、幼少期の環境が影響を及ぼしている場合もあります。父親がお酒に酔って暴力を振るっていたとか、感情的になりやすい母親の顔色をいつもうかがっていたという経験がある人は、大人になって、ビジネスの場においても「嫌われたくない」「好かれていないと不安で仕方がない」という無意識の渇望が顔を出してきやすくなります。

実は私自身、若い頃は「嫌われること」が苦手でした。振り返ってみると、子ども時代、両親がよく家の中でイライラしていたので、けっこう親の顔色をうかがっていた頃があったのです。そうやって、両親の顔色を見ながら育つことで「嫌われることへの恐怖心」を自分で植え付けてしまうわけです。

仕事上の人間関係って、本来であれば、利害関係がはっきりしているから、プライベートに比べればわかりやすいはずなんです。少なくとも、家族との人間関係よりは、仕事の人間関係をうまくやるほうが、難易度は低いと考えられます。ところが、現実には、職場での人間関係に悩んでいる人は少なくないですよね。

それはおそらく、本来であれば利害関係が中心であるはずの仕事上の人間関係に、無意識のうちに「家族のような関係性」と受け取ってしまっているからだと考えられます。

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