佐賀県にも「フル規格」長崎新幹線は必要だ 費用負担は合理性欠くが確実にメリットある

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九州新幹線鹿児島ルートを走る「800系」(写真:のりえもん/PIXTA)

取材で「白いかもめ」の旅をした。空路で福岡空港へ。博多駅11時55分発の「かもめ19号」に乗って佐賀駅で降り、取材後は佐賀駅付近に泊まった。翌日は佐賀駅9時34分発「かもめ9号」で長崎へ。取材の後、長崎空港から帰路へ。

九州新幹線西九州ルート(長崎新幹線)にフル規格新幹線が必要という長崎県民の気持ちと、そもそも新幹線が不要という佐賀県民の気持ち。実際に旅をしてみれば、どちらもよくわかった。

長崎県民にとって、フル規格新幹線のメリットは明確だ。特急かもめは長崎―博多間を約2時間10分で走る。フル規格新幹線は最短で51分だ。この時短効果は大きい。

博多ー佐賀間はわずか37分

長崎―大阪間は、現状では鉄道よりも空路がやや早い。しかし長崎を旅する人の感覚では、長崎空港が長崎市中心部から遠い。長崎空港のWebサイトによるとマイカーで35分とのこと。旅人が利用する空港リムジンバスは43~67分かかる。

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フル規格新幹線が実現し、山陽新幹線と直通すれば、新大阪―長崎間は3時間15分で結ばれるという。これなら所要時間では鉄道の圧勝だ。料金面で空港便の早割が魅力という感覚だろうか。

とはいえ、佐賀県民の多くの人々にとって、フル規格新幹線のメリットは小さい。それを今度の旅で実感した。博多駅を11時55分に出発する「かもめ19号」の佐賀駅到着は12時32分。所要時間37分だ。実際に乗ってみると、昼時でも駅弁を買おうかどうしようか悩むくらい短時間だ。列車に乗ったらビールを飲むと決めている人も、37分後に下車すると思えば躊躇する。

フル規格新幹線なんていらない。今の所要時間に不満はないし、15分程度の時間短縮で料金が上がるほうが迷惑だよなと、ヨソ者の私でさえ思う。しかし「かもめ19号」の車窓で、ちょっと気になる景色があった。佐賀よりも1つ手前の特急停車駅である新鳥栖駅から乗り込むスーツ姿の人々が目立つ。彼らが乗り込んで「かもめ19号」の指定席の空席がすべて埋まった。

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