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「エモい」で判断するのがあまりに危険なワケ 共感できない相手こそ「対話」することが必要

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  • 松浦 正浩 明治大学専門職大学院ガバナンス研究科(公共政策大学院)教授
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人の話し合いを科学的に分析する交渉学では、「共感できる/できない」はあまり関係ありません。むしろ、共感できない相手だからこそ、自分と相手が欲しているものが異なるので、そのズレを使って相互に利益がある「おとしどころ」を見つけることができます。

共感できないから縁を切るのではなく、むしろ、「この人はなぜこんなことを要求してくるのだろう?」と興味をもって対話を始めるところから、共存のための交渉が始まります。そのためにはシステム1を克服して、システム2をフル稼働させなければなりません。

交渉学の基本的な考え方と実践方法については、拙著『おとしどころの見つけ方 世界一やさしい交渉学入門』などを参照していただければ幸いです。

共感だけでできた組織は危険

また、共感を前提にした集団には勢いがあって、輝いているイメージがあるかもしれませんが、実はメンバーの思惑が同じ方角を向いてしまっているがゆえに、行き詰まりに直面する可能性も高いものです。たとえば、「育児中の親」が集まった職場を考えてみましょう。メンバーは育児の苦労や喜びなど、多くの面でお互いに共感できるかもしれません。

しかし、夜間や週末に急に対応しなければならない業務が発生したとしたら、誰が対応できるでしょう? 誰もそんな時間に働きたくないし、働けない人も多いから調整が困難なはずです。むしろ、似た者ばかり集まった職場より、いろんな人が集まった職場のほうが、働き方の希望も多様であるため、そのズレに調整の余地が生まれます。

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実際、最近の「働き方改革」の動きをよく見ると、時間外労働の上限や有給休暇の取得といった規制のほかに、「ダイバーシティ(多様性)の推進」の動きがみられます。

会社に滅私奉公する昭和のサラリーマンのような働き方だけでなく、育児をしながらの短時間勤務、趣味をかねた兼業、高齢者や障害者の雇用など、多様な働き方を意図的に許容することで、同質性の高い組織では見いだせなかったイノベーションを創発させたいという意図が見受けられます。

もちろん、多様なバックグラウンドの人々をまとめあげるための求心力として、共感をうまく使うことはできるかもしれません。しかし、共感だけで組織ができてしまうと、この多様性を確保できなくなる危険も高くなります。むしろ、少しくらい共感できなかったとしても、思惑の違う人たちを集めることで初めて交渉の余地が生まれるのです。

さて、これまで述べてきた考え方に共感してくださる人もいらっしゃるでしょうし、共感できない人も多いかもしれません。共感のコメントが殺到することになれば筆者は気分がよくなるでしょうし、共感できないというコメントで炎上したら、おそらく数日間はへこむことになるでしょう。しかしどちらに転んでも、それは非常に皮肉なことです。共感(反感)に流されるな、と筆者は述べてきたのですから。

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