東急、「池上線」テコ入れの裏に潜む危機感

2年連続で「活性化イベント」、住民の評価は?

さらに、2018年の上期、東急の定期外の利用者数は全体では減少したが、目黒線、世田谷線、池上線の3路線は増加したという。平江氏は、「天候によるところが大きく、あくまでも仮説だが、世田谷線は玉電開通110周年記念イベントの一環で運行した招き猫電車が人気だったこと、池上線はフリー乗車デーの効果が寄与しているのではないか。目黒線は、武蔵小杉駅や武蔵小山駅などの開発で沿線人口が増加している」と語る。

では、今回の池上線全線祭りはどのような様子だったかお伝えしよう。今回はフリー乗車は行わず、東急線が1日乗り放題となる「ワンデーオープンチケット(660円)」を提示するとイベント協賛店などでさまざまな特典が受けられるようにした。

今回の「池上線祭り」はどうだった?

1976年のヒット曲「池上線」を熱唱する西島三重子さん。沿線各駅のレコード店を回ってあいさつし、池上本門寺でヒット祈願した思い出なども語り、盛り上がった(筆者撮影)

11月23日、24日の2日間にわたり、全15駅周辺で大なり小なり何かしらのイベントが行われた。このうち主なものは、池上と戸越銀座の商店街の歩行者天国で行われたストリートビュッフェ、洗足池ボートハウス屋上を開放したフードテラス、洗足池ボートの先着109組無料乗艇、東急プラザ蒲田屋上「かまたえん」観覧車の先着100組無料乗車、そして、1976年のヒット曲「池上線」で知られる歌手の西島三重子さんをゲストに迎えての「乾杯電車」の運行だ。乾杯電車は事前申し込みによる抽選が行われ、応募倍率は5.5倍だった。

池上のストリートビュッフェは昼頃から人が増え始めた(筆者撮影)

池上のストリートビュッフェは午前10時から始まった。午前中の客足は鈍かったが、昼頃からしだいに人が増え始めた。出店者からは、「本門寺の祭事がある場合を除き、池上は普段、ここまでにぎわうことはない。今後、継続していけば参加店舗も増え、より盛り上がるのでは」と歓迎する声が聞かれた。その一方で、「祭りというから、もっと通りに出店が並んでいるのかと思って来たが、店舗の中でサービスしている店が多く、イメージが違った」という来客者の声も聞かれた。

戸越銀座のストリートビュッフェは午後2時にスタートし、「普段の土日より、1.5~2倍程度の人出で盛り上がっている」という声を聞く一方、「人が川のように押し寄せた昨年のフリー乗車デーとは比較にならない。昨年は混雑しすぎてお客さんがゆっくり買い物できる状態ではなかったこともあり、様子見で参加しなかった商店主もいた」と、前回と比較すると、イベントとしてはやや盛り上がりに欠けたのではという感想を漏らす商店主もいた。

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