金正恩氏が歴史的「訪韓」を遅らせている事情 暗殺リスク回避に加え、外交上の計算も

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北朝鮮が「敵対工作の温床」と見なす韓国への訪問となれば、警戒は一段と高まるはずだ。

シンガポールや中国なら住民が騒ぎを起こす可能性はそこまで高くないが、韓国はそうもいかない。国民の中には、正恩氏の訪韓に反発を感じている者が相当数いる。

デモ隊が現れて、文氏と正恩氏の双方が気まずい思いをしたり、メンツを潰されたりする可能性があるということだ。暴動や暗殺の危険性さえ排除できない。正恩氏がソウル入りすることになれば、北朝鮮の護衛部隊は金正日総書記が死去して以来、最難関ともいえるミッションに遭遇することになる。

ぎりぎり数日前に日程を公表する?

北朝鮮では正恩氏が行った完了済みの国内公務でさえ、国営メディアによって具体的な日程が伝えられることはほとんどない。また、正恩氏が特定の施設を訪れる際、護衛部隊は周囲の人間が携帯電話で連絡を取れないようにするため通信インフラをシャットダウンさせることがある。

北朝鮮当局は事が済むまで正恩氏による訪韓の詳細は明かしたくないと考えているに違いない。しかし韓国の文政権が事後発表を容認するとも思えない。訪韓日程の周知期間をできるだけ短縮したい北朝鮮政府としては、ぎりぎり数日前に日程を公表する線で手を打つことになるのではないか。

ただ先日の韓国メディアの報道合戦のように、北朝鮮が同意した解禁期日より前に情報が漏れた場合には、警護上の理由から訪韓が延期される可能性も十分考えられる。

韓国政府としても日程の公表は直前まで遅らせたいと考えているのではないか。デモ隊や敵対勢力に準備する時間を与えず、混乱を防ぐためには、発表から実際の訪韓までの期間は最大限圧縮しておくに越したことはない。

年内の訪韓実現は絶望的な状況にあるとはいえ、韓国メディアでは日程や旅程についての臆測が激しく飛び交っている。

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