ランキング対象は、2015年入社人数が10名以上の会社で、平均年収800万円以上の企業を対象とし、定着率が高い順に上位200社を掲載している。順位は定着率の高い順に付けているが、掲載はそのうち年収が高い順に並べている。
ランキングで定着率100%の会社は32社。そのうち平均年収が1000万円を超えているのは4社で、3社は三菱地所、住友不動産、東京建物と、大手不動産会社が並ぶ。もう1社のアジレント・テクノロジーは、医薬・バイオ関連機器を手掛ける外資系企業だ。
年収997万円のアストモスエネルギーはLPGガス事業最大手で、出光興産、三菱商事の事業統合によって発足した。年収892万円のタクマはボイラー製造大手で、ゴミ焼却炉や水処理プラントを展開している。
なお、2年連続で定着率が100%だったのは、10社(三菱地所、アジレント・テクノロジー、日本郵船、横河電機、福田組、東京ドーム、京阪ホールディングス、国際協力銀行、東京応化工業、松竹)に上っている。
トップ200社のうち建設業が27社を占める
業種別では、3年後定着率100%のうち、業績が好調の不動産業が4社とトップで、さきほどの1000万超の3社に加えて、年収849万円のNTT都市開発が入る。3社は3業種で、海運・空運(日本郵船、商船三井、川崎汽船)、食品・水産(日清オイリオグループ、不二製油、アサヒビール)、電子部品・機器(ルネサスエレクトロニクス、アドバンテスト、横河電機)となっている。
一方、ランキングした202社を見ると、建設業が27社でトップ。商社・卸売業、化学が20社と、まったく異なる業種になっている。
3年内離職率の数字を見る場合には、採用人数にも注意してほしい。148位の新日鐵住金は、入社者が893人もおり、1人の離職で0.1%の変動にしかならないが、153位のトーア再保険や東映は、入社者が11人のため、一人離職するだけで9%も変動してしまう。『就職四季報』には2期分のデータがあるので、前期データとあわせて、定着率(離職率)の状況を確認するのがいいだろう。
ここ数年の就職活動は、就活生にとって有利な売り手市場が続いており、2020年卒もこの傾向は変わらないとみられる。企業は働き方や福利厚生などの制度を自社サイトなどで公開している。一方、情報量が多すぎるインターネットで自分自身の知らない会社を調べるのは、時間もかかり、まだまだ手間がかかるといえよう。
いざ入社した後に、『こうじゃなかった』と後悔しないためにも、しっかり企業研究をしてほしい。業種ごとにコンパクトにまとめている『就職四季報2020年版』が役に立つはずだ。
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