「犬肉市場」、中国南部に行ってわかった実態 ルポ!犬肉料理を中国人と一緒に食べてみた

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確かにすごくにぎわっている。お店の前には、丸焼きになった犬肉が何体も吊るされ、何人もの職人が、でかい肉切り包丁でバンバン、肉をたたき切っている。

店内店外には100人以上のお客さんがいて、皆鍋をガツガツと食べている。小さな子どもを連れた家族、若いカップル、会社の仲間たち、と客層はそれぞれ。とても楽しそうだった。

メニューを聞くと、「汁あり鍋」と「汁なし鍋」の2種類だけと、とてもシンプルだった。ぶつ切りにした犬肉を甘辛いタレで絡めてある。スパイシーでおいしかった。ガイドも一緒に食べる。「う〜ん。桂林のがおいしいね。玉林は固いよ。あ、ここの部分おいしいよ」と言って、ひょいと肉片を渡してくれた。足の肉球だった。確かにコリコリしてうまい。現地の人に混じって犬肉料理を食べていると「ああ、地元に根づいた文化なんだな〜」と実感した。

レストランで話を聞くと、中国国内でも玉林市の犬肉食に対しては非難が高まっているらしい。

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「季節ごとにいろいろな肉を食べる。犬はスタミナがつくって言われているから、夏や冬に食べる。もうずっと前から。ヨーロッパ人に文句言われる筋合いはないね。牛や豚だってかわいいし、かわいそうだしね。北京や上海の奴らは犬肉を食べる文化がないから、勝手に文句ばかり言うんだ。そして、愛護団体を名乗る奴らが、犬を運ぶトラックを襲って、犬を盗んでいった。それってもうボランティアじゃなくて、盗賊だよな?」

ボランティアたちは、犬を解放して育てるとして飼い始めたが、すぐに資金が尽きてしまったらしい。全頭、餓死してしまったと笑いながら教えてくれた。

夏の時期は牧場で育てた犬だけでは数が足りず、ペットの犬を盗んできて食べることもあると聞いた。その話も聞いてみた。

「最初はペット泥棒はよくないと批判が出た。だけど、犬を飼っている人たちは大体マナーが悪い。鳴かせるし、ふんもさせる。だからペット泥棒がさらってくれて、静かになってよかったとみんな喜んでいる。だから今は文句出ない」とのこと。めちゃくちゃな話ではあるが、クールな中国人っぽい考え方だとも思った。

村田 らむ ライター、漫画家、カメラマン、イラストレーター

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むらた らむ / Ramu Murata

1972年生まれ。キャリアは20年超。ホームレスやゴミ屋敷、新興宗教組織、富士の樹海などへの潜入取材を得意としている。著書に『ホームレス大博覧会』(鹿砦社)、『ホームレス大図鑑』(竹書房)など。

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