相鉄、平成30年間をかけた高架化「最後の夜」 一晩で踏切なくす「人海戦術」の切り替え工事
相模鉄道の長年の悲願である「東京都心直通」。JR線へ乗り入れる「相鉄・JR直通線」の開業が2019年度下期に迫る。
同社は12月13日、新横浜駅(仮称)までの区間の名称が「相鉄新横浜線」に決まったと発表した。一方、東急線に直通する新横浜から都心側は「東急新横浜線」に決定した。JR線と分岐する羽沢横浜国大駅から先が開業するのは2022年度下期の予定だ。
都心直通線の大プロジェクトが進むなか、相鉄が長い年月をかけて取り組んできたもう1つの工事が11月下旬に完成を見た。相鉄本線・星川―天王町(ともに横浜市保土ヶ谷区)間約1.8kmの高架化だ。
同区間の高架化事業は、1時間に最大で40分以上閉じたままの「開かずの踏切」8カ所を含む9つの踏切の解消を目的として2002年度にスタート。2017年3月には複線のうち下り線が高架化され、そして今年11月24日の始発電車から上り線も高架に移行し、開始から約16年の歳月を経て完全高架化を果たした。12月8日からは、高架化に伴う新ダイヤでの運行も始まった。
踏切の解消を求め、地元で相鉄線立体化の推進協議会が設立されたのは平成最初の年である1989年度。駅舎や周辺整備は今後も続くが、同区間の連続立体交差化はまさに平成のほぼ全期間を費やした事業だった。
夜を徹しての線路切り替え
線路のバラスト(砂利)をかき回す音、レールや工具の触れ合う金属の音、そして作業員たちの威勢のいい掛け声……。3連休最初の夜である11月24日の午前0時半過ぎ、終電が走り去った後の天王町駅の線路上は、すっかり寝静まった周辺の街並みとは対照的に活気に満ちていた。
この日の工事は、地上を走っていた従来の上り線線路を、新しく完成した高架線につなぎ替える作業。高架化される区間の両端である天王町駅と「星川6号踏切」付近で行われた。今回のハイライトは仮設ホーム設置などを伴う同駅での線路切り替えだ。
同駅では、従来の線路を切断したうえで長さ115mにわたって最大で1.8m南側へ、新しい高架の線路を長さ11.3mにわたって最大で55cm北側へ移動し、双方の線路を接続する。「レールの締結が工事のいちばんのポイントです」と相鉄プロジェクト推進部建設第二課課長代理の柾谷幸一郎さんはいう。
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