生活保護費を搾取する「大規模無低」の正体 厚労省がお墨付き?貧困ビジネス拡大の懸念
一部の運営事業者は1施設当たりの入所者数を大規模化。ホームレス状態にある人に、公園などで運営事業者自らが「相談」と称して声をかけ、施設に入れてしまう勧誘行為も横行した。
住居を失い福祉事務所に生活の相談に行くと、「大規模無低の利用を促された」と話す保護受給者は多く存在する。こうした運用実態が特定の大規模無低の急拡大に拍車をかけた可能性が高い。今では全国で無低施設数は537、入居者数は1万5600人に至っている。経営主体の8割弱がNPO法人だ。
生活保護費はほとんど手元に残らない
無低事業者は、保護受給者が受け取る住宅扶助や生活扶助の中から、さまざまな「利用料」と称し毎月徴収する金銭を運営財源としている。中にはそのほとんどを徴収する悪質な大規模施設運営事業者も存在し、「貧困ビジネス」と批判されている。
ある大規模無低から逃げ出してきた元利用者は、「施設では家賃のほか、高い食費や水道光熱費や共益費も払わされ、生活保護費はほとんど手元に残らず生活再建につながらなかった」と話す。
2015年に厚生労働省が実施した実態調査では、本来は一時的な居住場所であるはずの無低が、入所期間4年以上に及ぶ入所者が全体の3分の1を占めていることが明らかとなった。これはつまり、一度無低に入ったら出ることが難しい実態がある、ということになる。
大規模無低の運営実態はどうなのだろうか。金銭管理と称し生活保護費を丸ごと取り上げたり、「施設内就労」の名の下で福祉の専門資格を有しない保護受給者を施設職員に据えて働かせたりするケースがある。1つの居室をベニヤ板で間仕切っただけで天井部分が完全につながっている居室を、「簡易個室」と称し50~200人を1つの施設に「収容」するような大規模無低も関東各地に存在している。
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