JR東の次世代新幹線、目指すは時速360km 製造中の「ALFA-X」先頭車公開、鼻先は鋭角に
ALFA-Xが搭載する新技術の中で、目立つのは地震発生時の対策だ。車体の大きな揺れを抑えて脱線しにくくするための「地震対策ダンパ」などを設置するほか、より早く列車を停めるための新たな装置も搭載する。
その1つは、車両の屋根に板を立ち上げ、空気抵抗によって減速させる「空力抵抗板ユニット」だ。
かつての新幹線試験車両でも同種の装置が搭載され、その形から「ネコ耳新幹線」として話題となったが、今回は小型の長方形の板を多数立ち上げる形に変更した。装置は中間車両に設置するため、今回は公開されていない。
このほか、コイルをレールに近づけて電磁的な力で減速させる「リニア式減速度増加装置」も搭載する。
安全面ではこのほか、車体や台車に振動センサー、台車の軸箱に温度センサーを設置。車両の各機器や地上設備の状態をモニタリングする装置も搭載し、異常の兆候を早期に発見してメンテナンスを行う「CBM(状態基準保全)」の実用化を目指す。
乗り心地の改善でも新技術を導入し、E5系ですでに採用している左右方向の揺れを低減する装置やカーブで車体を傾斜させる装置に加え、上下方向の振動を抑える装置を搭載する。
最高速度260kmの壁はどうなるか
JR東日本が次世代新幹線の開発で見据えるのは、2030年度に予定される北海道新幹線の札幌延伸開業だ。現在、最高時速320kmで東京―新函館北斗間を結ぶ「はやぶさ」の所要時間は最速で4時間2分。現状の速度では、札幌まで延伸した際の所要時間は約5時間の見込みで、航空機に対して一定のシェアを獲得するためにはスピードアップが重要だ。
現在、時速320kmで走れる区間は東北新幹線の宇都宮―盛岡間のみ。盛岡―新青森間は「整備新幹線」区間として最高時速が260kmに制限されている。
現在、最高速度が時速110kmの東京―大宮間については今年5月、JR東日本が騒音対策の強化によって最高時速を130kmに引き上げると発表。最高140kmの青函トンネル区間も来春に160kmでの運転が実現する予定だが、さらなる高速化には車両性能のアップに加え、整備新幹線区間の速度見直しも課題だろう。国土交通省の資料によると、同区間の最高速度向上には騒音対策やトンネル微気圧波対策、駅設備の風圧対策などの検討が必要とされている。
最高時速360kmでの営業運転を目指してALFA-Xの試験走行が始まるのは来年5月以降だ。
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