鉄道のきっぷに共通する「57.5ミリ」のひみつ 180年前のイギリスから受け継がれるサイズ
この状況をなんとかしないといけない。そう考えたエドモンソンは、ボール紙に発着駅名、運賃を木版印刷し、通し番号を手で書き入れることでミルトン駅発の乗車券を作った。その後、日付押印機、乗車券棚、印刷機も開発。通し番号も手書きではなく印刷するようになった。ここで誕生したのが、現在の日本でも使われている57.5mm×30mmサイズの切符だ。
この発明により、エドモンソンの人生は変わった。彼が開発した乗車券は勤務先の鉄道では普及しなかったものの、マンチェスター・アンド・リーズ鉄道の支配人が目をつけ、倍額の給与でエドモンソンを引き抜いた。エドモンソンは特許権を取得し、このスタイルが世界に広まっていった。日本でも鉄道運行開始時からエドモンソン式乗車券が使われるようになった。
共通の数字「57.5mm」
現代の日本では、多くの鉄道会社で同じサイズの切符が使われている。中でも、短距離の乗車券はエドモンソンが開発した乗車券のサイズのまま変わっていない。手のひらに収まる57.5mm×30mmのサイズだ。
一方、特急券や長距離の乗車券は、57.5mm×85mm。定期券もこの大きさだ。「青春18きっぷ」など横長の大型の券は57.5mm×120mmである。
この寸法を見て、あることに気づかないだろうか。エドモンソンが定めた乗車券の長辺の長さである57.5mmが、特急券など大きなサイズの乗車券の短辺の長さと同じであることだ。
券売機で発券される切符は、機械の中でロール状になって発券を待っており、発券の指示が出ると同時に印刷され、裏面の磁性体にも情報が入力されて券売機から出てくる。このロール紙の幅が57.5mmなのだ。小さい切符は長辺、大きな切符は短辺を57.5mmとすることで、1種類のロール紙ですべての種類の切符に対応できるようにしているわけだ。指定席券売機やJR「みどりの窓口」にある端末である「マルス」や、私鉄の特急券券売機も同じだ。
かつて発売されていた「パスネット」などの磁気カードや磁気式の定期券も短辺の長さは57.5mmだ。これは自動改札機の投入口が切符のサイズに合わせて設計されているため、ここに投入できるようにつくられたためだ。
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