西武新特急、JR九州デザイナーはどう評した 銀色の円筒、豪華列車「ななつ星」とは対照的

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木目調のクラシックなデザインを得意とする水戸岡氏だが、意外にも「モダンなデザインが大好き」なのだと言う。

水戸岡氏は、国鉄時代の特急車両「485系」を鮮やかな赤に塗りつぶしてリニューアルした(記者撮影)

水戸岡氏が手掛けた観光列車は、ななつ星を筆頭に、木材を多用したクラシックなデザインが多い。しかし、初期段階ではさまざまなタイプのデザインを行なっている。例えば485系という国鉄時代の特急車両のリニューアルに際し、赤一色に塗りつぶすという大胆な試みで関係者を驚かせた。また、新幹線800系は現代的な室内空間に和風柄の座席を配置し、「和モダン」というイメージがぴったりくる。さらに、883系「ソニック」の内装はモダンどころか、むしろ近未来の列車を想起させる。

水戸岡氏のデザインは乗客本位

実はななつ星も当初案は、全面ガラス張りで丸みを帯びた近未来的な寝台列車だった。だが、当時の唐池恒二・JR九州社長(現会長)は「豪華列車の旅を楽しむ50~70代の客層はヨーロッパ風のクラシックなデザインを好む」という理由でこのデザインを却下。その判断は見事に的中し、ななつ星は運行開始から5年経った今も高い人気を誇る。

つまり、水戸岡氏が目指しているものは、クラシックかモダンかはあまり関係なく、乗客に感動を与えることができるかどうかという点に尽きる。その結果としてのデザインがクラシックだったりモダンだったり、ということなのだろう。

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