匠大塚「日本橋ショールーム」を閉鎖したワケ 大塚家具、サプライズなき決算の読み解き方

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大塚家具は11月14日、2018年1~9月期(第3四半期)決算を発表した。売上高は前年同期比12.5%減の273億円で着地、営業損益は48億円の赤字(前年同期は40億円の赤字)だった。

店舗販売の不振で売上高は会社計画を下回ったが、8月時点で業績見通しの大幅な下方修正を行っていただけに、目立ったサプライズはない決算と言えるだろう。

唯一、今回の決算での大きな変化は決算短信に記載された資金繰りに関する注記にある。複数の銀行と結んでいた融資枠を10月に解除したのだ。

大塚家具は現預金が急減する中、資金が枯渇する事態に備え、ほぼすべての商品在庫と店舗家賃の敷金である差し入れ保証金を担保に、複数の銀行との間で計50億円を上限とする融資枠を確保していた。

この契約を解除し、10月19日からは動産担保の融資を手掛けるゴードン・ブラザーズ・ジャパンと金銭消費貸借契約を締結。11月14日時点で、建物や有価証券などを担保に5億円を借り入れている。

銀行の融資枠を解除

安心材料でもあった銀行との融資枠を解除したのはなぜなのか。この契約では商品在庫を担保に入れていたため、在庫を大きく入れ替える際にはたびたび銀行側の承諾が必要となっていた。

だが、大塚家具にとって売り場を占有する古い在庫の処分は最優先課題の1つ。閉店や目下開催中の「在庫一掃セール」のように、在庫量が変わるたびに事前の承諾を取るための時間がかかってしまう。「より機動的に在庫削減を行うため」(同社財務部)の判断だったという。

商品在庫以外で大塚家具が保有する資産は、一部の土地・建物と7億円弱の有価証券(9月末時点)、差し入れ保証金くらい。これらを担保に借り入れできる額は限られ、これまで以上に早急なスポンサーの決定が重要性を増してくる。

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