匠大塚「日本橋ショールーム」を閉鎖したワケ 大塚家具、サプライズなき決算の読み解き方

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9月下旬から11月25日まで開催している「在庫一掃セール」は、長年売れ残っていた大型のダイニングセットやソファなどを最大8割引で販売。10年以上滞留している在庫やデザインの似通った商品群を減らして売り場の古臭さを一新し、より時代のニーズに沿った家具を店頭に並べられるようにする狙いだ。

懸念はセール後の反動減

セールの効果もあり、10月の店舗売上高は15か月ぶりに前年同月を上回った。5月に閉店した春日部店に続き、12月末で立川ショールームを閉店することも決まった。

饒舌にインタビューに応じる勝久氏に対し、久美子氏はここ数カ月メディアへの露出を控えている(2017年3月、今井康一撮影)

ただ、懸念されるのはセールが終わった後の反動である。2015年に実施した、父娘間での経営権をめぐる騒動の“お詫びセール”ですら見られなかった「8割引」という大幅な値引きで、高級イメージの低下や顧客離れに拍車がかかるのは避けられない。

8月に発表した中間決算では、決算書に企業の継続性に不透明さがあることを示す「継続企業の前提の疑義に関する注記」が付いた。企業の継続性に疑義が呈されれば、納期が数年先になるホテルやレストランなど、法人販売にも不安が付きまとう。

赤字覚悟のセールや閉店は目先の延命措置になっても、持続的な成長にはつながらない。スポンサー候補との交渉が決着しない中、会社の存続をめぐる不透明感はさらに強まっている。

会員制ビジネスでのまとめ売りで大塚家具が成功した時代から、消費者のニーズは大きく変わった。時代の変化の波に乗り遅れた父娘が、かつての成長路線を取り戻す道のりはほど遠い。

真城 愛弓 東洋経済 記者

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まき あゆみ / Ayumi Maki

東京都出身。通信社を経て2016年東洋経済新報社入社。建設、不動産、アパレル・専門店などの業界取材を経験。2021年4月よりニュース記事などの編集を担当。

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