このように、退職代行サービスを利用するケースでは、退職の意思が固まっているにも関わらず、会社(特に上司)との直接交渉が難しく、仲介者が間に入る必要がある点が共通している。
退職の意思を固めているということは、仕事へのモチベーションも下がっているため、会社にとっても、その社員をどうしても引き留めなければならない理由はないように思う。しかし、実際のところ、社員をあの手この手で引き留めようとする会社は存在する。今後さらに「社員を辞めづらくする会社」が増えていくと予想している。
なぜなら、売り手市場の傾向が今後もしばらく続くため、人員を補充するとなると、採用コストがかさむと考えられるからだ。さらに厳しい状況となると、お金をかけても採用できない状況すら発生し得る。世代構成的にも、少子高齢化が進み、退職者(特に団塊の世代)が増える一方、入社者(新卒採用)が減るため、人員を現状維持させることすら難しくなる。
また”ブラック企業の烙印”を押される業界や企業も近年増えている。厚生労働省から、労働基準関連法に違反した企業リスト(労働基準関係法令違反に係る公表事案)が公開されたり、口コミサイトやマスメディアによって、ブラック企業(業界)がすぐに広まるようになってきている。新卒3年内離職率などが高い企業は「労働環境が良くないのでは?」と、特に新卒や若手人材から敬遠される傾向だ。
それによって、飲食や介護、建設業界のような不人気となってしまった業界は、採用がより一層難しくなっている背景から、「労働環境の改善」よりも「人材の引き留め」を最優先させる会社が増えてもおかしくはない状況となっているのだ。
精神疾患になってから辞めるのでは手遅れ
基本的には、費用がかかる退職代行サービスを利用するより、できるだけ自力で退職した方がいい、と筆者は考えている。費用がかかること以外にも、自力で退職した方が円満退社となることも多く、退職後も一緒に働いた人たちとの人間関係を継続することができる。
ただ、今の仕事を続けていると、精神疾患(うつ、適応障害など)を患ってしまう恐れがあるのであれば、話は変わってくる。退職代行サービスのような外部のサポートを受けてでも、早急に退職を進めた方が良い。一度精神的に病んでしまうと、回復に時間がかかってしまうだけでなく、退職後の転職活動も難航してしまう恐れがある。
何よりも自分の健康が第一なので、場合によっては「退職代行サービス」というものを利用できるよう、そういったサービスがあるということだけでも、頭の片隅に置いておいて損はない。
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