弱気充満の市場に「意外な株高」の可能性 ハイテク株や一部の中小型株は売られすぎだ
もちろん、現在の株価の低迷はその先見性から、来期以降の業績停滞を予見していると言う見方もある。筆者はそれを全否定するつもりはない。
だが、例えば先行きで最大の悪役になっている「半導体」にしても、「IoT、5G、AI(人工知能)、クルマの自動運転」の実現には半導体が不可欠であり、世界の将来は半導体の塊であると言っても過言ではなく、必ずしも先を読んでいるとも思えないのだ。
また、目の前の経済の中心にいる「消費」においては、大企業の今年冬のボーナス平均妥結額は95万6744円で、前年比3.4%増となり2年ぶりに前年を上回った(日本経団連の第1次集計)。
さらに、アメリカでは23日(金)感謝祭翌日の「ブラックフライデー」から年末商戦が本格的にスタートするが、一部リサーチ会社の発表では、年末商戦の売上高が前年比6%増で、初めて1兆ドルを突破すると予想されている。
外国人は7週ぶりに先物を買い越し
先週15日(木)に発表された10月の同国の小売売上高も前月比0.8%増と、予想の0.5%増を大きく越え、すでに年末商戦の盛り上がりの気配を見せている。
一方、日本の15日(木)引け後に発表された11月第1週の投資主体別動向をみると、外国人は7週ぶりに先物(特に日経平均先物)を買い越した。一方で裁定買い残は約5億株で約1兆円。こうした「スカスカの状態」での先物の買い越しは、明らかなポジション積み増しの動きではないかと思われる。
景気のピークアウトにおびえるアメリカと欧州に比べ、先行き不安の相対的に少ない日本に、資金を振り向け始めたと考えるのが順当ではないか。弱気論が一気に台頭してきた今こそ逆に、年末年初高に冷静に備える時ではないかと思っている。そう考えると余りにも下げ過ぎたハイテク主力株、全く人気の圏外に押しやられた中小型材料株等、狙う銘柄には事欠かない。
ただし、1つだけ注意が必要なことがある。それは中国の外貨準備高だ。中国の外貨準備高は2014年末に3兆9000億ドルのピークを付けたが、2015年8月の政府の元安誘導をきっかけに大きく減少。これがチャイナショックの一因になったともいわれる。外貨準備高はその後回復傾向にあったが、米中貿易摩擦の激化もあり2018年10月末では前月比マイナス339億ドルの3兆0530億ドルにまで減少した。もし外貨準備高が節目の3兆ドルを切った時にAIファンドはどう動くのだろうか。すでに売りシグナルの1つとしてインプットされているかもしれず一定の警戒はしておくべきか。
今週の日経平均予想レンジは2万1400円~2万2000円とする。
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