外国人材の新制度、外食とコンビニで「明暗」 人手不足14業種が候補だが選定基準は不明瞭

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大幅な見直しとなる今回の入管法改正。今後のポイントはどこにあるのか。制度導入を目指す自民党で外国人労働者等特別委員会の委員長を務める木村義雄氏、外国人材受け入れを進める外食産業から菊地唯夫ロイヤルホールディングス会長兼CEOに話を聞いた。

「働く条件を日本人と同じにすべきだ」

参議院議員 自民党外国人労働者等特別委員会委員長 木村義雄

1948年生まれ。衆議院議員を7期務めた後、2013年参議院議員に当選(全国区)。元厚生労働副大臣(撮影:風間仁一郎)

2016年に自民党の「労働力確保に関する特命委員会」の委員長として、就労目的の在留資格を新設して外国人労働者の受け入れを進めるべきだと提言した。一歩前進だが、むしろ遅すぎるぐらいだ。

これまでは、技能実習と語学留学生の資格外活動という本来就労目的でない制度で労働力を補っていたが、もはや限界に来ている。技能実習では実習先から契約を解除されると帰国するしかなく、人権侵害や失踪などの問題につながっていた。特定技能の新設はこうした問題を正す意味もある。特定技能では業種内で転職が可能だ。技能実習は国際貢献という本来の目的に向けて純化していく。

特定技能の業種に何を入れるかは柔軟に考えるべきだ。日本人と同じように働いてもらえればよい。働く条件も日本人と同じにすべきだ。本来なら家族帯同も特定技能1号から認められるべきだが、永住につながるとの懸念が自民党内からも出たため、今回の改正案では1号では認めていない。

きちんとしたルールを作れば、外国人に日本を選んでもらえるはずだ。良質な人材は日本社会にもプラスになる。中国など諸外国も人材獲得に動いているが、まだ間に合う。(談)

「特定技能だけで人手不足は解消しない」

ロイヤルホールディングス会長兼CEO 菊地唯夫

1965年生まれ。日本債券信用銀行(現あおぞら銀行)、ドイツ証券を経てロイヤル入社。2010年社長、2016年から現職。2018年5月まで外食産業の業界団体日本フードサービス協会の会長を務めた(撮影:梅谷秀司)

入管法改正はポジティブに受け止めている。外食業界でも高齢者や女性、テクノロジーの活用を進めてきたが、それだけでは吸収できないほど労働力が逼迫し始めている。人手不足は好景気に伴う一時的なものではなく構造的な問題だ。

特定技能で弊社が外国人を受け入れる場合、「日本人と同じ条件」が基本的な考え。店内での調理や接客などで日本人と同じように働いてもらう。すでにアルバイトとして働いている留学生は1つの候補になる。

将来の海外展開を視野に入れた人材確保にもつなげたい。たとえばベトナムに出店するとき、特定技能で働いたベトナム人に携わってもらう。他国との賃金格差がどんどん縮小する中、日本で働くことが将来のプラスになると感じてもらえないと、日本には来てくれない。

ただ、特定技能の導入だけで人手不足は解消しないだろう。むしろ、少ない働き手でどう付加価値を生み出すか、テクノロジーをどう活用するかといった議論が大事だ。ロイヤルホストは、24時間営業の取りやめで人手が確保しやすくなり、繁忙時間帯のサービスが向上した。規模の拡大を前提にする経営を再考する時が来ている。(談) 

木皮 透庸 東洋経済 記者

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きがわ ゆきのぶ / Yukinobu Kigawa

1980年茨城県生まれ。一橋大学大学院社会学研究科修士課程修了。NHKなどを経て、2014年東洋経済新報社に入社。自動車業界や物流業界の担当を経て、2022年から東洋経済編集部でニュースの取材や特集の編集を担当。2024年7月から週刊東洋経済副編集長。

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