原発で働かされた外国人実習生がはまった罠 技能実習制度には、2つの「抜け道」がある
外国人が日本で働きながら技能を学ぶ「技能実習制度」で来日したベトナム国籍などの実習生6人が、放射線教育も行われないまま、福島第一原発でがれきなどを焼却する施設の建設工事に従事していたことが、5月1日に明らかとなった。
東京電力が定めた自主ルールに違反する事態だが、同社は6人の被ばく量を把握していないという。6人は、東京の元請ゼネコンの下請企業が受け入れた実習生だった。また、3月には、ベトナム人実習生が、盛岡市の建設会社に雇用され、同社が請け負った福島県郡山市での除染作業に従事していたことが明らかとなっている。実習生によれば、会社との雇用契約書には「除染作業」は記載されておらず、作業内容や放射能の危険性についての説明もなかったという。
制度の欠陥により見過ごされてきた
これらの報道について、「これはやってはいけないこと」「奴隷制度同然」などと強く非難する声が上がっている。確かに、実習生に対し、作業の内容や危険性などについてきちんと説明しないまま、情報や日本語能力の乏しさにつけこんだとすれば、言語道断である。
しかし、「福島第一原発の敷地内で技能実習生が働くこと自体は、制度上、違反ではない」「技能実習としてこれ(除染作業)を行わせてはならないという旨の法令上の規定はない」とする法務省には違和感を抱いた人が多いのではないか。そもそもベトナムには原発がなく、原発関連の技能移転などありえないのに、なぜ制度上違反ではないのか。
これまでも技能実習生が原発関連作業に従事していたことは、業界内では知られていた事実だが、そのようなことが事実上黙認されてきたのは、技能実習制度にまつわる2つの「抜け道」があるからだ。
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