「W時短勤務」夫婦が家事外注に出費するワケ 重要なのは家庭内の優先順位を決めることだ

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 近所の市場にて買い物をする2人。ちなみに2人の日常会話はスペイン語です(著者撮影)。

夫婦W時短勤務で家事手伝いを頼んでいる、と紹介すると「スペインだと時短でもそんなに稼げるんだ!」と思う人もいるかもしれません。でも妻のAさんいわく「給料は低いよ~。だから、うちは車も持ってないしそのほかの出費はギリギリまで抑えている」とのこと。

それでも家事手伝いを利用しているのは、スペインでは家事の外部委託がそれくらい一般的で、外注費用も安いからなのでしょう。そして、何にお金を使うかの優先順位が日本とは全く違うということも大きい気がします。家事手伝いのような「生活を楽にするための出費」「自分の時間をつくるための出費」は、日本だといちばんあとまわしにして「贅沢」と位置づけられがちですが、スペインでは「生活に必要な出費」と位置づけられることが多いようなのです。

マンガにも描いたとおり、夫のJさんが夜勤で働いたときは、いろんなバランスが取れなくて苦しんだ時代がこの夫婦にはありました。そんな経験を経て、「給料が下がっても早朝スタートの時短勤務に変える」「お金がかかっても家事の一部を外注する」という選択は、この家族が「仲良く平和に暮らす」ためには必要なことだったのでしょう。

実際、日本よりスペインのほうが平均年収は低め。年収はもう少し高いけど残業が多くて時短もとりにくく家事育児外注文化がない日本、年収が低いかわりに残業が少なくて時短はとりやすく外注文化があるスペイン。

その背景には、スペインはママの産後職場復帰がとても早く、会社員は4カ月(!)で復帰するのが一般的(それ以上育休を取る場合は無給)という事情もあります。なので、スペインのほうが日本よりも環境的にすべて恵まれてる、ということは全くありません。ただ、この夫婦のように「家事も育児も仕事も夫婦で半々でやりたい」という家族の場合は、スペインのほうが生活しやすいのかな、とも思いました。

夫婦に合った生活スタイルを

ちなみに、「国際結婚」に憧れる日本人も多いようですが、実際には「お互いの文化の違いでもめる」という話はかなりよく聞きます。そういったケンカで別れてしまうカップルも多々……。

そう考えていくと、この夫婦の「お互いについて我慢する、耐える」という言葉は、一見ネガティブな表現のようですが、言い換えればそれはお互いの思想を受け入れる姿勢があるということ。「ここだけは譲れない!」という部分では交渉し、それ以外は柔軟に。そのバランスこそが結婚生活の肝なのかも、とあらためて思ったりしました。

というわけで、今回の話から学んだ「つかれないヒント」は…

パートナーの育児のやり方が合わなくてつかれる

自分の意見をぶつけるのではなく、本などの第三者を通して伝えてみる

さて次回は、この夫Jさんの意外な過去の話から、さらに「仕事と人生のバランス」について考えてみます。お楽しみに!

 

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ハラユキ イラストレーター、コミックエッセイスト

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はらゆき / Harayuki

雑誌、書籍、広告、Webなどの媒体で執筆しつつ、コミックエッセイの著書も出版。2017年から約2年間バルセロナに住んだことをきっかけに、海外取材もスタートさせる。著書に『女子が踊れば!』 (幻冬舎)、『王子と赤ちゃん』(講談社)、『オラ!スペイン旅ごはん』(イースト・プレス)、この連載を書籍化した『ほしいのはつかれない家族』(講談社)など。この連載のオンライン・コミュニティ「バル・ハラユキ」も主宰し「つかれない家族をつくる方法」を日々探求、発信中。ハラユキさんのHPはこちら

 

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